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第15話

 「アイツを追い払って、その後どうするんや。その身体をどうするんや。あんた、もう奥まで犯されな我慢できへん身体にされとる。もうちょい早く俺が来れたなら、まあ、ちょっと淫乱で男に抱かれる側にならなあかん位ですんだけど、ほぼ、アイツらと番える身体にもうなっとるんや。わかるやろ。普通は後ろでも、口でもあんなもん突っ込まれたら裂けるし、喉が詰まって死ぬ。もう、あんた、アイツらのためのメスになっとるんや。もうその腹の奥には子供を生むための器官も出来とるかもしれん」  男の言葉はとにかく怖かった。  子供を生む??  身体を変えられた??  悲鳴が出そうだ。  でも、納得してた。    身体が欲しがるからだ。   貫いて犯されて舐めまわされたいと。  何度も何度も。  死ぬまで。  「どうすれば・・・どうすれば・・・」  僕は泣く。  花嫁なんか嫌。    嫌だ。  化け物の子供なんか生まされたくない。  もう女みたいに抱かれるのを受け入れてしまってるだけでもたえられないのに。  「奴らは奴らなりに愛情深いし、人間と一緒になる位なら奴らの方が幸せかもしれんぞ。人間の死体も身体が変われば旨く感じるらしいし」  男が慰めるように言ってくるが、全く慰めにならない。    嫌だ。  死体なんか喰って生きたくない!!!  「拒否・・・出来るんだよな」  僕は泣きながら聞く。  「ああ。でも。拒否してどうするんや。毎晩毎晩、あんたを犯してくれる男を探さないといけない人生が始まるんやぞ。断ったところで。あんたを昨日抱いてたお兄ちゃん、一人位じゃ足りへんぞ。普通の人間はずっとセックスには狂われへん。生活があるんや。それやったら一層、あちらに行って、ヤツに大事にされた方が幸せちゃうか?こっちじゃもうあんたは、淫乱でおかしい存在にされてまうんやから」  男は化け物との婚姻を勧め始めた。  この男。  明らかに、あちら側の人間だ。  人間が好きではないのだろう。    なんかわかる。  「あちらでは奴らなら、そんな身体になってもうたあんたのことをおかしいなんて言わへん。あんたを花嫁にした化け物は、あんたを可愛いと喜んで死ぬまで大事にして満足させてくれるやろ。その身体抱えて、いやらしいとか、軽蔑されたりとかしながら、男漁って生きていかなあかん人間の世界より・・・もう、あんた向こうに行った方が・・・」  男がどうかんがえても、化け物の花嫁にのるように僕を説得しているようにしか聞こえないことを言っていた時だった。  「ダメだ。渡さない」  眠っていたと思った友達が起き上がり、僕を抱きしめる。  「渡さない。もう、渡さない」  友達の声は低いけどはっきりしていた。  「話、聞いてたか?・・・このお兄ちゃんの身体、あんた一人じゃ手に負えんなっとるんや。化け物に耐えれる身体に作り替えてるんでな。あんただけじゃ足りない、どうすんの?探してやるの?そこまでできんの?」  男がバカにしたように言う。  「このお兄ちゃんが人間の世界でこれから生きていくってそういうことやで?他の連中にも抱かせてやらなあかん。満足するまて。僕の男のんを咥えこんで、ヒイヒイ言うてるを受け入れないとあかん、そういうことやで?」  男の言葉が胸に刺さる。  僕は。  ずっと。  ずっと。  誰かに犯され続けないといけないのか。  嫌だ。  嫌だ。  まだ化け物の方がマシだった。  人間の男は、僕を軽蔑しながら、バカにしながら、あざ笑いながら、犯す。  僕は自分からそういう相手を探し続けるのだ。  毎晩毎晩。  そんなの僕の心が耐えられない。  嫌だ。  僕は涙を止められない。  もう、僕には人間の世界は悪夢のようだ。  ここにはいられない。  でも死体を喰う化け物の仲間になるのも嫌だ。  「大丈夫だ。オレがいる。オレが! 友達が僕を抱きしめて叫ぶ。    「オレじゃ足りないなら、オレが探してやる。お前が誰に犯されてもその手を握っててやる、側にいてやる。だから。だから・・・あちら側になんか、行くな・・・行くな・・・」  友達の声が切ない。  「アホか。当てられただけやぞ、あんた。話によると、あんたらただの友達やったんやろが。友達と一線こえてもうて、頭の中がバグってるんはわかるけどな、冷静になれや。これは一生の問題なんやぞ」  男が呆れたように言った。  「あんたはこの人の一生に責任持てるんか、友達とちょっとやってもうただけで!!・・・友達とやるのは、まあ、なんや、・・・大きな間違いやと思うぞ」  男はなんだか苦しそうに言った。    「友達なんかじゃない。・・・なかったんだ。最初から。でも諦めてたんだ。コイツは男に興味なかったし。でも。でも。諦めてたコイツを、もう諦められない。絶対に手放さない」  友達は叫んだ。  「誰にやられようが、誰のを咥えようが、オレ以外を欲しがろうが、オレはもうコイツを諦めるつもりはない!!放さへん!!」  友達の言葉は。    衝撃だった。  本当に。

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