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「できたよー。」
お盆に料理を乗せてちゃぶ台に運ぶ。
食材は少ない割に調味料は沢山あったので、献立には困らなかった。
作ったのはご飯と、大根とにんじんの味噌汁と、じゃがバター。作ってた時は思わなかったが、なかなか質素なご飯だと後から気づいた。
まあ、居候初日ですから。これからヒモ力上げてこ。
「おおー!これは?蒸したイモ?」
「じゃがバターです。美味しいんだよ。」
まあバターが無かったら蒸したイモなんだけどね。
倫太郎さんは早速じゃがバターに箸をつける。
「早速未来人の腕前を見せてもらうとするかな。」そう言いながら口に運ぶと「美味しい…。」とこぼした。
それから箸を止めることなく食べ進めていき、あっという間に全ての皿が空になる。
「人が作った飯ってだけで最高に美味いな!ごちそうさまでした。」
正直そんなに喜んでもらえるとは思ってなかったので、素直に嬉しかった。これは作りがいがありますなあ。と心の中でにやける。
「でしょ〜。未来人の料理の力なめんなよ。」
「ははっ、これからも楽しみだなぁ。」
すると倫太郎さんはじゃあ「片付けよろしく。」と言って再び書類に目を通しはじめた。
いやまあ、世話をするとは言ったけども…。
あまりの温度差に口元が引きつりながら「はいよ。」と返事を返した。
「倫太郎さん。水道どこー?」
「水道なんてないぞ。水は井戸から汲んでくるんだ。」
「あそこな。」と言って指さしたのはここから100メートルはありそうな場所。しかも灯りは一切なく、ホラー映画でよく見るような禍々しさを感じる。
「え、嘘でしょ。」
「洗濯や炊事で水を使う時はあそこから汲んでくれ。
ああ、タライがあるからそれ持ってってな。」
玄関に放ってあるタライを俺に手渡して「何かあったら呼んでくれ。」とだけ残していく。
待って待って。あんな暗い所に一人で行けって?
流石に怖いが過ぎるだろ。
何を言われようが、ここは恥を忍んで付いて来てもらうべきだ…!
俺は、倫太郎さんの着流しの裾を掴んだ。
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