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オリベの仲間

 「いや、これは食っとるで?」 掠れたような声が聞こえたから、右を向く。 茶色い短髪の男性が新聞の上から顔を出し、声を殺して笑っていた。 「ラシャくんどうも〜」 ニコニコ笑いながらカウンターの椅子からこっちに歩いてくるオリベ。 「ほんとお前は……アーサーギー!!」 目の前の彼……アサギさんは首根っこを掴まれて後ろに引きづられていく。 あっ、当たった。 「ゆ、ゆるし……あああ〜」 オリベに両側のこめかみを男らしいゴツゴツの拳でグリグリと押され、甲高い声で叫ぶアサギさん。 「ほんま……俺の、大事な……このくそ」 ブツブツ言うオリベに嬉しいけど、ちょっと怖いなと思う僕。 ちょっとやりすぎだよ。  「オリちゃん、かわいそうですから勘弁してやってくださいませ」 カウンターの向こうで穏やかな口調の割にニヤニヤと笑っている男性は、中に黄色のTシャツを着ていた。 オールバックで後ろにこげ茶の髪を流している人、タイプなんだよな。 じっと見ていたのに気づいたのか、その彼が僕に大人の笑みを浮かべ、右目でウインクをしてきた。 「……コハク、見えてんで」 手を休めずに氷のような声でオリベが言うと、何もしてないよと示すようにこげ茶の人……コハクさんは口笛を吹いた。 黄色……琥珀色でコハクさんか。 名前もカッコいいな。 じゃあ、新聞の男性はラシャ……羅紗染色か。 全部Tシャツの色と名前が呼応してるんだ。 すごいな。  それよりここはどこなんだろう。 それに、なんで4人のイケメンに囲まれているんだろうか。 色々と考えていたら、いきなり首筋に皮膚が引き裂かれたような痛みが走る。 驚いているうちに、知らない黒髪ショートの男性に抱かれてしまった。 二重のアーモンドの瞳に高い鼻、全体的に厚いプルプルな唇で雪のように白い肌の彼は紫のTシャツの上に黒のフリースを羽織っていた。 「はっ、はっ……ああ」 スッと見てくる瞳はまるで全てを透視されているようで、身体が固まる。 フッと嘲笑う声と共に右へ大きく口角を上げた彼は僕の視界から消えた。 「あ……んアッ、ア、アハッ……」 ユラユラ揺らぐ視界、緩くなった口元から垂れる唾液……渦巻く欲情で自由が効かない身体。 ジュルジュルと強制的に聞かされる音に支配され、精神が崩壊しそうだ。  「あっ、やっぱ美味いわ」 鼻声で平然と言った彼は軽く吸い口を唇で挟んだ後、僕から離れた。 僕は力が入らなくて崩れるように床へ叩きつけられた。 「あっ……すまん」 もう遅いですよって思いながら、何度も咳き込む。   「スオウ、大事にしてやらなあかんで?」 紫のTシャツ……蘇芳色か。 「すまん、我慢できへんかった」 「そんなに美味いん、血って?」 「飲む? ほい」 会話していた彼……スオウさんは何故か目の前で大人のキスをし始めた。 チュクチュクと水音を立て、お互いの唇を舐め合う2人を見て、身体が熱くなってきた。  「あっ、ほんまや……ええわ」 「な! ラシャちゃんの口に合うと思たもん、おれ」 「でも、スオウからしかもらわんわ」 「もう〜甘えん坊やな、ラシャちゃんは」 抱き合ってキスをする2人……ラブラブを見せつけられたら、どうしたらいいかわからないよ。  「なぁ、あれは怒らんでええの?」 「ラシャくんのためやからええの……でも、お前は許さん!」 「あああ〜」 オリベはまたアサギさんの頭をグリグリパンチし、それをまたコハクさんが笑う。 なんかわからないけど、面白い人達みたいだから、ふっと息をついた。

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