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第8話
寝台に倒れ込むようにして、二人は抱き合っていた。
レグニスは血を、エィウルスは肌を、求めていた。
小さな、薄紅色の突起をエィウルスが舌で舐めあげると、紅潮したレグニスの白い肌に紅い血の跡が続く。細い腰を押さえ込むようにしてエィウルスは突き上げた。
最奥を穿てば、細い顎を仰け反らせ、レグニスが身体を震わせた。
「…ぁッ…ぁ…あ…ッ」
細い腰をくねらせ、レグニスは咥え込んだエィウルスの雄を締め付ける。
「エィ…ウルス…ッ、も…っと…ッ」
紅潮し、余裕一片も失くしたレグニスがエィウルスの名を喘ぎ漏らした。エィウルスはその金の瞳を覗き込み、更に腰を強く、速めた。
「…ぁッ…ぁあ…ッ…あああッ…も…う…ッ」
耳元にその甘い絶叫を聞きながら、エィウルスはレグニスの熱い最奥に己の精を迸らせた。
寝台の上に、気怠く横になったレグニスを見、エィウルスはその髪を掻き寄せ唇を寄せた。
「あんたは、何を望んでいるんだ」
エィウルスが発した言葉に、レグニスはふと、微笑を溢した。
「愛…とでも言いたいのか?」
「いや…」
エィウルスの真っ直ぐな瞳を見返し、レグニスは細い指先でその首筋に刻まれた刺青を辿る。
幻朧の、二つの心臓を持つ証。
長い睫毛を伏せ、しばらく言葉を断ったレグニスの顔を見ていたが、エィウルスは着物を羽織り、寝台を立ち上がった。
「悪い。いや、すまなかった。俺は血を、あんたに…」
背を向けて、出て行こうとするエィウルスに、レグニスはその名を呼んだ。
「エィウルス」
呼び止められたものの、一瞥を残し、エィウルスは部屋を後にした。
一人残されたレグニスは、唇をなぞる。その後に残ったのは、冷笑。
「…私は愛なぞ欲してはいないんだよ。エィウルス」
細い腕を撫で上げ、羽織りを上げた。
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