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第18話

   松明から溢れるのは、火の雫。 「燃やせ、と仰られたのには、少々私も焦りましたよ」  血に彩られた寝台に近づき、バルはその横たえた姿を見下ろした。  白い肌は更に青白く、血は流れ尽きたのか静かに紅に染まっている。 「あなたのお体は、私が無事、送り届けましょう」  この、黒い狗が。  抱き起こしたその頬に、一筋の雫。 「あなたの、懐かしく、呪わしい楽園に」

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