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第54話

「咲人くん、着いたよ〜」 「え?あ、うん」 ボーとしていたらいつの間にか着いていた 「「お疲れ様です!!」」 うわ、怖そうな人ばかり…… 車から降りて安積さんの後ろをついて行って門をくぐると並んだ組員の人達が安積さんに挨拶をしていた 流石幹部だなぁ 「さくー!」 あ、成世だ 安積さんの後ろに隠れてビビりながらも列の間を歩いていると成世が俺の事を呼んできた てか、あんま大声で呼ぶなよ… 周りの人めっちゃ見てくるし恥ずい… 「いつまでそこ居んの?こっちおいで」 あ、やべ…ちょっと不機嫌になってるし これ以上不機嫌にするのも俺が危ない そう思いトコトコと成世の前まで行って見上げた 「おかえり」 「ん、ただいま」 毎度のように頭をワシャワシャと撫でられる 最近これが心地よくなってきたんだよな なんか俺の事見てきてた人達ザワついてね?どうしたんだろ 「組長、咲人くん休ませてあげしょーよ」 「それもそうだな、さくおいで」 ちょいちょいと手招きをされたから素直に 先に歩き出した成世を追いかけた 「なぁ、なんで今日俺こっち来たん?」 部屋で休みながら成世に聞いてみた 「んー?今日俺がこっちに泊まりになりそうなのとさくに会いたいってうるさいじじが来てんだよね」 別に泊まりなら俺1人で大丈夫だし 「さく1人で寝れないでしょ?」 「え?!なんで」 「声出てるフフ」 まじか恥ずい… 「てか、じじって?」 「あー、まぁじじよ」 絶対説明すんのが面倒なだけだろ… 「誰がじじぃだ」 え?誰? いきなり扉が開いて声がしてきた スーツを着た男の人が立っていた その人は俺を見るなり近ずいてきた 「君がさくくんか?」 「あ、はい」 「わしは成世の父親で青朋(せいほう)会の会長をしとる」 「へぇー......え゙?!」 え、じゃあじじって...成世のお父さんのこと?! しかも会長って…… バッと成世の方を向くとムスッとした顔でこっちを見ていた 「今さくとまったりタイムだったのに何で来んだよ」 「せっかく可愛い息子ができたと思ったのに、お前が全然会わせようとしてくれないからじゃろ」 え?今息子って言った?言ったよな?! 「てか、そんなに近寄んな」 戸惑ってる俺をスルーしてそういうと成世は俺の事を引き寄せて膝の上に乗せて後ろから抱きついてきた 「くすぐったいから離せよッ!」 成世の髪が当たってくすぐったくて身体を押し離そうとするけど抱きしめる力がさらに強くなるだけだ...諦めよ

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