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第66話

(咲人side) 「咲人ぉー、迎え無視しちゃって良いの?」 「良いの、どうせ誰かついて来るし、GPSあるし」 俺はあの後迎えに来ている車のところに行かずに裏門から学校を出た 案の定組員らしき人達が数人俺たちの後をついて来ていた 俺が監視に来ている人を見るとビクッとして隠れた 「どこ行くん?」 「俺が前バイトしてたところ」 確か彼処は回線状態が不安定だったし、久しぶりにマスターに会いたい。 住所的にはここから近いしこの道は買い出しとかで使ってたから迷うこともない、監視の人達には悪いけど取り敢えず撒くか、 ……よし、上手く撒けたか? この道真っ直ぐ行けばあるはず、、、 カランカランとベルの音が鳴った このBARは夕方はカフェとして開店してるから今の時間もマスターは居る 「いらっしゃ……咲人くん、久しぶりだな」 「こんにちは、マスター久しぶりです」 いつものように暖かい笑顔でマスターは俺の事を出迎えてくれた マスターは俺が未成年って事を知ってても雇ってくれた凄くいい人だ 「いきなり辞めてすみませんでした…」 「あぁ、良いんだよ、藤沢さんに良くしてもらってるか?」 マスター成世と知り合いなんだ、、 「あ、はい。今ちょっと喧嘩?中ですけど」 アハハと苦笑いをしながらそう言った俺の事をマスターは微笑んでくれた 「所で、そちらは?」 マスターは俺の隣で店をキョロキョロ見渡している春弥のことを見た 「あ!俺は中村 春弥と言います、よろしくお願いします」 礼儀正しくマスターに自己紹介をした春弥の表情はいつもの様な明るい笑顔だった やっぱ育ちいいんだな…… 「咲人、そろそろマジでヤバいんじゃない?」 マスターの事を春弥と少し手伝いながら話に夢中になっていた俺は春弥の言葉で外を見た 外はもう日が沈み初めて夕日が店内に差し込んできていた 「えぇ、帰りたくない……」 帰ったら成世居るかもしれないし、居たら絶対怒られるし…… 「てか、春弥は大丈夫なのか?」 「うん、俺ん家は高校までは自由にさせられてるから、門限なんてないんだよね」 へぇ〜、なんかいい家ってもっとお堅いイメージあったな、 「咲人さん、、、帰るよ」 カランカランと店のドアが開く音と一緒に聞こえてきたのは 「………暁夜(きょうや)?!え、なんで」 「今日から復帰予定だったんだよ、まさか復帰して初めての仕事が咲人さん連れ戻す事とは思わなかったわ」 苦笑いをしながらそんなことを言ってきた 「うぅ…ごめん。なんでここ分かったん?」 ここ回線不安定だからGPSはそんな頼りにならないと思うし、監視は撒いたし 「まぁ、色々とつかって」 なんか濁されてる気がする…… 「取り敢えず帰るよ、組長が待ってる。」 うぇー、、やっぱ帰ってきてるよな…… 「やだ…」 俺がそう言うと暁夜は困ったような顔をして見てきた 「この手は使いたくなかったけど………」 暁夜は俺の前に立って俺の事を軽々と持ち上げてきた 「えッ…ちょ、降ろせッ」 「あ、君も一緒に送るから着いて来て」 「あ、はい」 俺の言葉を無視してそのまま車まで運んで嫌がる俺を抑えながら無理やり車に乗せて暁夜は車を発進させた

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