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第70話

「…く、咲人」 「んー……え?」 今成世「咲人」って言った? 初めて成世から咲人と呼ばれて一瞬にして眠気が消えて俺は直ぐに起きた 「おはよ、そんなに驚く?」 「うん、だって初めてじゃん」 「かーわい」 そう言って俺のおでこにキスをして部屋から出ていった 俺は状況を呑み込めずそのままボーとしていた 「さくー、朝ごはん全部食べれたら今日この後買い物連れてってあげるよ」 「え、まじ?!」 ドアから顔を覗かした成世がそう言ってきた 普段学校以外で外にあまり連れてってくれないのに今日は連れてってくれるらしい まぁ、条件付きだけど 「もう少しでできるからその間に顔洗って寝癖直してきちゃいな」 「ん」 俺は言われた通りに洗面所に行って顔を洗ってから寝癖を直すことにした 今日の寝癖は頑固らしく水で濡らしてもぴょこっとして直る気配がしない ……もういいや リビングに戻ると朝ごはんを運んでいる成世がいた 「朝ごはんできたから食べちゃおって…可愛い寝癖じゃん」 「もういい」 成世にからかうように言われて更に治す気が失せた 「ごめんって、ご飯の後直してあげるから」 そう言って俺に席に着くように促した 朝ごはんはパンにスープ、スクランブルエッグとかの洋食だった 量は減らしてくれているらしい 今日は全部食べられる気がする だってご褒美?つきだし久しぶりの成世のご飯だから 「ご馳走様でした」 「お粗末さま、全部食べれたじゃん偉い偉い」 途中でペースダウンしたけど何とか食べきることが出来た 「じゃ、寝癖直してあげるからここおいで」 食器を片付けた成世に呼ばれてソファに座る成世の足元に座った 寝癖直しを髪にかけてその後ドライアーを当ててきた 数分すればぴょこっとたっていた寝癖は直っていた 「はい、終わり」 「ありがと」 実は少し気になっていたから素直にお礼を言っておく 「にしても、髪長いねもし邪魔なら今日切りいっちゃう?俺はこのままでも可愛いから全然いいけど」 そういえば数ヶ月前に切りに行ったきりだったな もう頑張れば結べそうなくらいだしな… 「切りいく」 「わかった、じゃ連絡しとく」 「俺いつも行ってるとこがいい」 「あー、まぁいいけど…」 髪はいつも決まったところで切ってるから知らない人に切られるのなんかな… 成世はちょっとやだそうだけど、そこは自由にさせて 「着替え持ってくるから待ってて」 成世がいる時はいつも成世が俺の着替えを持ってきてくれる 俺、甘やかされすぎてる気がする… 「はい、着替えて〜」 「待って、ここで着替えろって?」 「え、うん」 「なんでだよ、俺部屋で着替えてくる」 「だーめ、ここで」 後ろから抱きしめられ耳元でそう言われた 「ッ……耳元やめろ//」 「えー、なんで?赤くなってるよ?さく」 コイツ、俺が耳弱いの知っててやってるだろ 「あー!もうわかったよ!」 「よろしい」 結局俺は成世の目の前で着替えるという謎行為をすることになった

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