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俺と彼の関係(8)
ただ今賢者タイム突入中。
バラバラに砕け散った記憶を払い集め尋ねた。
「…これって…無理矢理…ですよね?」
「何言ってんの?
酔っちゃった君を置いて帰るわけにもいかず、家に連れて帰ったら『俺のハジメテを受け取って下さいっ!』って俺を押し倒してきたのは君だよ!?」
「え!?嘘でしょ!?」
「嘘なもんか!ほら!」
差し出されたのは、まさかのボイスレコーダー。
「俺は危機管理の一環として常備してるんだ。
まぁ、聞いててよ。」
スイッチが押された。
衣擦れの音と、ドスッという鈍い音が聞こえた。
『ねぇ、社長…俺のハジメテを受け取って下さいっ!』
うわっ、俺の声っ!?
段々と顔面が蒼白になっていく。
嘘だろ?俺がこんなこと言うなんて…
「ね?
こうやってかわいらしくセクシーに押し倒されて迫られたら断るわけにはいかないだろ?
美味しくいただきました!」
「嘘だ………(絶句)」
「“ハジメテ”だったんだろ?付き合ってるひとなんていないよね?
君みたいなこんなに身体の相性がいいひとなんて初めてだ!
ねぇ、俺と付き合わない?」
「は!?何仰ってるんですか!?意味が分かりませんっ!
だってあなたは婚約者がいらっしゃる、と聞き及んでいますけど!?」
「アレは双方の親が勝手に思い込んでいるだけだ。はっきりと断ってる。
アッチにもちゃんと付き合ってる男がいるよ。
…付き合うのがダメなら、時々こうやって会おうよ。
君だって、女の子はダメなんだろ?
一度でも男を受け入れちゃったら、マトモな世界には戻れないよね?
それに…これを君の社長に聞かせちゃおうかなー…なーんて。」
「……脅迫ですか?」
「脅迫?そんな物騒な…『提案』だよ『提案』。
君にとっても俺にとっても、いいこと尽くめじゃない?
ね、どう?」
「…バラさない、って約束して下さいますか?」
「勿論だよ!早速だけどLINE交換してよ。
あ、俺のことは“ニール”って呼んでね、俊樹♡」
…こうして俺には立派なセフレが誕生したのだった…
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