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身体だけ!?(4)
バレないように平静を装い、“通常通り”に仕事をこなした。
その日の業務も目処が立ったまさにその時、受付から内線が掛かってきた。
「黒原さんにお届け物です。」
「は?私にですか?」
首を捻りながら受け取りに行く。
一体誰からなんだろう。
時々いるのだ。俺に媚を売れば社長に便宜を図ってもらえると勘違いする輩が。
暗に社長への付届けの類なら突き返す。
俺を確認した受付嬢が怪訝な顔をしている。
「こちらです。」
その目の前には豪華な花束を抱えた男が1人。
確か彼は…ニールの偏食秘書!何で彼が!?
俺の腕を取ると、受付から少し離れた所へ連れて行き、俺だけに聞こえるように囁いた。
「いつもお世話になります。
うちの社長から黒原様へ言付かって参りました。」
そう言うと、ぐいっと問答無用で俺にソレを押し付けた。
「えっ!?あの、これは?」
「何も仰らずにお受け取り下さい。
拒否されると変に勘繰られます。
さ、どうぞ。」
確かにそうだ。
『社長じゃなくて何で黒原さんなの?この人誰?』
ちらちらと視線を泳がせてくる受付嬢の無言の問い掛けが怖い。
俺に花束を押し付け、失礼します、と去って行くその後ろ姿に、あくまでも業務の一環だと思わせるように軽く一礼すると、物言いたげな受付嬢に営業スマイルを残して急いでエレベーターに向かう。
それにしても。
コレは一体何だ!?何の意味があって?
ふと覗き込んだ真っ白な薔薇の隙間に、メッセージカードがあった。
そっとそれを抜いて、封を開け中身を取り出した。
『美味しいワインが手に入ったんだ。
金曜日、迎えに行く。』
流れるような美しい筆跡は、確かにニールの直筆だった。
ワイン?
金曜日?
迎え?
頭沸いてんのか、アイツは。
またヤろうってか!?マジでセフレだと思ってんのか!?
会社に届けたら、俺が絶対受け取らざるを得ないことを踏んでのことか。
それにまんまと引っ掛かる俺も俺だ。
それなのに、ドキドキと跳ねる心音に戸惑っている。
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