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身体だけ!?(6)
それから…無駄に咲き誇る薔薇を横目に迎えた金曜日――
あと数分で終業、という時間に奴はやって来た。
「満!秘書殿借りるよぉ〜!
くっろはっらくーん!さぁ、行こうか!
あっ…ちゃんと飾ってくれてるんだ。嬉しいな♡」
ゲッ、来た!元凶がっ!!!
っていうか、バラすな!誰からのプレゼントか伝えてないんだからなっ!
「社長、申し訳ございませんが、先日の会食で貸し借りなしになっています。
よって、私があなたと同行することは、うげっ」
「はいはい。いいじゃん!細かいこと言いっこなしだよ。一緒に飲みたいだけなんだから。
満、秘書殿連れてくからあとはヨロシク!
あれ?あぁ、君が満の愛しの伴侶殿か。
初めまして。ニルス・アンダーソン・透です。
ご結婚おめでとうございます。
お祝いはまた改めて送らせていただきますね。」
ニールは、あははっ、と笑いながら俺にヘッドロックをかませたまま引き攣り、ドアを閉めた。
「…っく、ゲホッ、ゲホッ、離せっ!こんの馬鹿力!」
「あぁ、ごめんごめん。こうでもしないと言うこと聞いてくれそうになかったから。」
ゲホゲホとむせながら抗議していると、ドアが少し開いて檸檬君が顔を出した。
「檸檬君!助け」
「あのぉ…お取り込み中すみません…これ、黒原さんの鞄です…パソコンも電源落としましたから……お疲れ様でしたっ!」
そっと差し出された鞄をニールが「ありがと♡」と言って受け取ると、檸檬君はにっこりと微笑んでドアを閉めた。
ガチャ
え?助けてくれるんじゃないの?
檸檬君?あれ?…満の差し金か!?
「さぁ、俊樹、行こうか。」
悪魔が微笑んでいる。
俺の鞄を人質に、がっちりと俺の腕をホールドして。
俺は盛大なため息をついて、半ば引き摺られるようにしてエレベーターに向かって行った。
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