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身体だけ!?(9)
テーブルに並べられた料理を見て驚いた。
まるで一流レストランのフルコース並みだ。
「凄い!これ、ケータリング?それともテイクアウト?」
「何言ってんだよ。俺が作ったんだよ。」
「嘘っ!?だってこれ、どう考えてもプロの仕事だろ!?」
「ははっ。褒めてもらえて嬉しいな。
趣味が高じて色々手を出した結果だよ。
見た目だけじゃないぞ。味も折り紙付きだ。」
どんなもんだとドヤ顔のニールに、素直に「美味そうだ」と告げた。
2人の時はタメ口で、とさっきから何度も念押しされて、もう半ばヤケクソになった俺は、すっかりそんな扱いをしている。
袖を通したスウェットは真新しい感じがする。下着も。
でも、ニールの物だとサイズが違う。それに新品にしては…
「俊樹、どうした?」
「あ、いや…これ、アンタがいつも着てるやつ?」
「違うよ。新しく買ってきたんだ。
一度洗濯したんだけど、何か不都合でも?」
「え!?何で?わざわざ?」
「俺のだとサイズ的に合わないだろ?
君、結構細身だから。ワンサイズ違うんじゃないかと思ってさ。
まぁ、ぶかぶかの“彼シャツ”状態でも良かったんだけどね。」
さり気なくだけど、あくまでさり気なくだけど、何だか際どいことを言われてるような…
細身って…
「俺のために申し訳ない。ありがとう。」
「ははっ。素直な俊樹もかわいいなぁ。
さ、美味しいうちに食べてよ!
ワインも冷えてるから。」
ニールは、ウェイターよろしく俺をエスコートして座らせるとウインクしてきた。
何をやってもサマになるんだよな。
ちょっと見惚れてしまうじゃないか。
あ、そうだ。取り敢えずお礼言わなきゃ。
「ニール、綺麗な花束をありがとう。
でもあれ、会社に届けるなんて…そうすれば俺が断らないのを知っててやったんだろ?
それに何だ?あの薔薇の色。
満が変に勘繰ってたじゃないか!バレたらどうするんだよ!」
ニールは悪戯が見つかった子供みたいに首をすくめた。
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