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困惑(1)
あれこれと色んな体位で攻められて、ついにはドライでイく、という体験までしてしまった。
ネットやら噂やらで知っていたけれど、あんなに凄いものだとは思いもしなかった。
出るものももう出ないと言っているのに、それでも散々にイかされた。
鬼畜だ。アイツは絶対にドSだ。
気が狂いそうになるくらいの快感を植え付けられ、俺はもう後戻りできないことを悟った。
言葉通り『夜通し』いたぶられて啼かされて意識がぶっ飛び、気付いたら外は白々と明るくなっていた。
「…嘘だろ…」
そう呟く声も掠れていた。
ベッドから抜け出そうにも腰が立たない。
マジか……
初心者相手にどんな無体なことをしやがったんだ。
隣では満足そうに口元に笑みをたたえたイケメンが熟睡している。
不思議なことに、あれだけお互いの淫液に塗れた身体はすっかり綺麗になっていた。
多分、ニールが後始末をしたんだろう。
それでも奥に何かがいるみたいで、シャワーを浴びたかった。
ゆっくりと、それでも何とか時間を掛けて起き上がることができ、よろよろと覚束ない足取りでバスルームへ向かう。
良かった。
動ける。
コックを捻ると、熱い飛沫が肌を跳ねる。
忽ちに白い水煙に包まれて、俺は暫くお湯を浴び続けた。
ふぅ、と大きく息を吐くとボディソープを手に取る。
胸元を見て、固まった。
「…キスマーク…」
恋人でもない俺に、何故所有の印をつけるのか?
自分専用の性奴隷の証 ?
きっと誰かに身体を開かぬように、という警告なんだろう。
見知らぬ誰かに病気を移されでもしたら大変だもんな。
そんな心配は無用だ。俺はニール以外には許さない。身持ちは硬いんだ。それに好きでもない相手にそんなことはしない。
ふるふると頭を振り、身体中に残るニールの匂いを洗い流した。
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