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困惑(4)
予定?そんなこと聞いてどうするんだ?
ニールが何を言いたいのか分からないが、取り敢えず答える。
「え?天気がいいから洗濯しようかと思ってた。」
「そうか。特に予定はないんだな?」
「あぁ。」
「じゃあ、俺に付き合え。ドライブに行くぞ。」
「は?何言ってんの?」
「ド・ラ・イ・ブ。
ちょっと走った所にランチの美味い店があるんだ。前から行きたかったんだけど、ひとりで行くのもちょっと憚られてな。
なぁ、頼むよ。朝食のお礼に奢るから付き合って?」
「…俺、昨日のままだからスーツなんだけど。」
「大丈夫、着替えならあるから。決まりだな。
」
ニールは嬉しそうに言うと、残りのパンをひと口で頬張った。
ドライブ?デートじゃあるまいし。
着替えはある?お前のサイズは俺には大き過ぎて合わないんだけど、何を着せるつもりなんだ?
否定しても心が躍る自分に戸惑っている。
強引社長に押し切られるような形で、今日の予定を埋められてしまった。
「お前はソファーで座っとけ」と、ご機嫌なニールに押しやられて、またクッションを抱えてボンヤリとテレビを見ていた。
お天気お姉さんが『本日は洗濯日和の快晴です』と告げている。
せっかくの大物の洗濯日なのに。シーツや布団カバーも気持ち良く乾いたんだろうな。
嫌なら断ればいいのに、何故俺は断らなかったんだ?
なんだよ、このシチュエーション。
一晩だけじゃなくて、ランチまでセフレと過ごすなんてどうかしてるぜ。
「おーい、俊樹ーっ!」
洗い物を済ませたニールに呼ばれた。
「何だ?」
「お前ん家の代わりに、俺の洗濯物手伝えよ!
夕べ2人で散々汚したからな、くくくっ。」
「なっ!?」
昨夜の痴態を思い出して、カッと全身が熱を帯びた。
「そっ、そんなこと今言わなくてもっ」
「ははっ、ごめんごめん。
ついついカワイイ俊樹を思い出した。」
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