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出張(1)

いつもの時間に目覚ましが鳴った。 がばりと起きて、洗面を済ませた後、はっと気付く。 「…今日から休みだった…」 檸檬君が気を利かせ、それプラス前々から俺の不調に気付いていた満から、『出張』を命じられた。 出張という名の骨休めホテル監禁。 チェックインは14時だから慌てる必要もない。それまではのんびり過ごすことにする。 平日のウインドウショッピングでもいいな。 そうだ。 目が覚めてしまったし、モーニングでも作ってみようか。 キッチンに行き、冷蔵庫を漁ってみる。 必要な物は大体揃っている。 冷凍のパンケーキもあったはずだ。 今朝はブラックじゃなくてカフェオレにしてみよう。 「…『何もするな』と言われたんだけどさ。」 テレビをつけると、いつものお天気お姉さんが 「今日は一日快晴です!」と満面の笑みを浮かべていた。 「天気か…洗濯していこうかな。」 シーツもベッドカバーも全て取り外して、洗濯機に放り込んだ。 晴れ渡る青い空。 涼やかな風。鳥の囀りも近い。 今から登校するんだろう、小学生の弾んだ声が微かに聞こえる。 平日のこんな時間にのんびりするなんて、何年ぶりだろうか。 ベランダからぼんやりと外を眺めていた。 俺に必要なのは、こんな時間だったのかもな。 ちょっとセンチな気持ちを遮ったのは、腹の虫だった。 「どんなに悩んでても、一応腹は減るんだよな。」 何だかおかしくなってひとりで笑い、手を洗うと野菜室からトマトときゅうりとリーフレタスを取り出した。 ざっと洗ってサラダにすると、今度はパンケーキをレンチンする。 コーヒーを少し濃い目にセットして、あとはスクランブルエッグを作れば出来上がりだ。 いつもより時間を掛けて、ゆっくりと咀嚼する。完食できた。 ここ最近で久し振りだった。

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