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出張(4)
side:檸檬
はぁ…大見得を切ったのはいいけど、俺一人で大丈夫かな…いつも黒原さんを頼り切って、何でも相談しながら仕事してたから…
でも、やるしかないもんね。
俺、ここでしっかりしなきゃ、黒原さん休めるものも休めなくなる!
ややこしい案件は予定に入ってはいないから、大丈夫。
来客も事前にアポ取ってる人達だけだから、問題はない。
突然の来客は、受付でガードして日を改めてもらうようにお願いしてもらっていた。
落ち着け、檸檬。
そうやって自分で自分を鼓舞しながら、何とか1日目を乗り越えそうだった。
大きく深呼吸をして気持ちを整える。
今日一日何度こうしたか分からない。
あと20分。もう少しで1日目の緊張から解き放たれる。
偉いぞ、檸檬。よく頑張った。
何もトラブルがなくて良かった。
明日も頑張るんだ!
……なーんて気が緩んだところに、珍客がやってきた。
「こんにちはー!満いる!?あれ、黒原秘書殿は!?何処かにおつかいでも行っちゃった!?」
「アンダーソン社長!?受付は!?…今日はアポのない方はお通ししないことに……」
「あははっ。俺、顔パスだから。やだなぁ、その閉塞感。何かあった!?
それより、ね、黒原君は!?」
「ニール!お前何しに来た!?」
「ひどいなぁ、満まで。
何?来たら不味かった!?」
「…いや、別に…
黒原は2、3日大事な案件で出張中だ。その間は連絡は取れない。残念だったな。」
「えーっ…一緒に飲もうと思って来たのに…」
「丁度いい。ニール、お前に話がある。
ちょっと来い。
檸檬、お茶はいらない。2人だけにしてくれ。」
満さんは、訝しげなアンダーソン社長の手を引っ張って、社長室に消えていった。
お茶もいらないって…何の話だろう。
満さん、ちょっと顔付きが怖かった。
仕事の話…ではない。それは何となく分かる。
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