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包囲網(6)

side:満 エンジンを吹かしながら、助手席に乗り込んできたニールを横目で睨み付けた。 「行くぞ。」 俊樹のマンション、もとい俺のマンションに着くまで、お互いに無言だった。 言いたいことは山程あったが、言い出したら止まらなくなる。 今は運転に集中したかった。 いくら用意周到、段取り魔の俊樹とはいえ、昨日の今日で新居を決め、引越しを済ませることはできないだろう。 確か保証人の要らない賃貸は、1〜2日審査に時間が掛かるはずだ。 いや、決まるまで何処かのホテルに身を隠すことも考えられる。 パソコンだって自宅に置いて行ってるはずだし、絶対に自宅に戻るはずだ。 駐車場に車をぶっ込み、ニールを連れて俊樹の部屋の階数ボタンと《閉》ボタンを連打する。 何度押しても同じなんだけど。 「…満…」 「何だ。」 「インターホン押しても居留守を使われたらどうするんだ。」 「心配要らない。 俺達はお互いに合鍵を持ってるからな。 出て来なければ押し入るだけさ。」 「!!!」 「何だよ…お前に何か言われる筋合いはないからな。」 無言のニールを無視してエレベーターを降りると、俊樹の部屋のインターホンを押した。 ピンポーン ダイレクトの訪問なんて俺しかいないから。 いるなら早く出ろ。ばか俊樹。 ピンポーンピンポーンピンポーン 連打していると、観念したのかドアが開いた。 「…満…」 「やっぱりいたのか。入るぞ。」 俊樹は後に続く男を見て絶句した。 「…ニール、何で……」 「俊樹、話がある。」 俊樹は逃げられないと悟ったのか、はぁ、と大きなため息をついてくるりと後ろを向くと、部屋に入って行った。 俺達も続いて中へ入る。 「あ……」 ニールが立ち尽くした。 部屋の中はダンボールとゴミ袋の山になり、荷物が散乱していた。

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