69 / 174
マジかそんな馬鹿な嘘だろ(5)
唇に少し隙間を作ったニールに懇願される。
「俊樹、頼むから、もう一度言ってくれよ。」
逃げられない、この瞳から…俺は覚悟を決めなければ。
「…ニール、愛している。
生涯、俺だけを愛すると…誓え!」
「俊樹っ!!!」
お前だけだ
愛している
傷付けてごめん
離さない、離れない
俺だけを見ていろ
結婚しよう
何だかそのような意味の言葉の羅列が、耳をすり抜けていく。
身体は熱を帯び、血液が沸騰しそうなくらいに興奮している。
なんだ。最初からこうすれば良かったんだ。
指先から爪先まで、ニールの唇が這っているのを感じる。
ついには後孔までやろうとするから『そんなところ汚いから止めてくれ』と言っても、ニールは止めるどころか、執拗にそこをねぶってくる。
愛されてる
愛している
そんな感情が、こんなに心地良いものだなんて、知らなかった。知ろうともしなかった。
ふー、ふー、と獣のような息を吐くニールが、スキンを口に咥えて封を食い千切るのが視界の端に見えた。
もうその頃には、俺も何が何だか訳が分からなくなっていて、ただニールの愛撫を受け続け、ひたすらに身を震わせていた。
口から溢れる熱くて甘い吐息。
今まで何度も肌を重ねているのに、まるで初めて抱かれるような不思議な気分。
心臓が飛び出しそうに脈打って、時折宥めるようにそこを撫でられる。
「俊樹…入れるぞ。」
ひくひくと収縮を繰り返し、愛おしい男の楔を今か今かと待ち侘びている俺の後孔に、ニールはピタリと焦点を定めて当てた。
クるっ。
ずぷずぶと無遠慮に捩じ込まれる感覚は、何度やっても慣れないけれど、今日は違う。
穴も筒も緩んで、蠢きながら受け入れるのが分かる。
「俊樹…心から受け入れてくれてるのか…」
感極まったニールの声が聞こえた。
ともだちにシェアしよう!