70 / 174
マジかそんな馬鹿な嘘だろ(6)
しゅ、と頬に赤味が差す。
「そっ、そんなこと、一々口に出して言わなくても、んふっ」
何度も何度も、煩わしくなるほどに唇を塞がれる。
飲み込む唾液は2人のものが合わさって、媚薬でも仕込まれているのかと思う程に甘く感じる。
「…俊樹…俊樹の中、俺をしっとりと包んでくれてる…凄く、凄くイイ…気持ち良くって泣きそうになるよ。」
吐息混じりに、ニールが甘く囁く。
“甘い”以外に表現の仕様がない。
ニールが言うように…確かに、俺のナカはぞわぞわと蠢いて、ニールを包み込んで奥へ奥へと導こうとしている。
『この男の子種が欲しい』
不意に湧いたこの感情は何だろう。
俺は女ではないから、いくら注がれても絶対に孕んだりしないのに。
大体、俺だって子種を持っているのに、相手のそれを望むなんて、どういうことなんだろう。
遺伝子を残そうとする本能がそう思わせるのだろうか。
俺の意思とは関係なく、ゆるゆると腰が動き出す。もっと、もっと奥へと誘うように……
「…俊樹!?……そうか、分かった。
あげるよ、全部あげる。
俺は俊樹のものだからな…俺も我慢の限界なんだ。
動くよ。」
そう言うなり、ニールは俺の腰をぐっと押さえ付けると、ゆっくりと前後に抽挿をし始めた。
「あっ」
何だ!?この感覚は。
今までにない、お腹の奥から駆け上がってくる甘美な痺れに戸惑っていた。
突かれる度、腰を引かれる度、ぞわぞわとさざ波のように広がっていく。
気持ちイイ、とにかく気持ちイイ。
口が開いたま、惚けたような顔をしていたのだろう、ニールが心配そうに俺の顔を覗き込んできた。
「…俊樹、どうした?」
言葉の振動がそれに拍車を掛ける。
「…っ、やめっ…喋るな…」
少し首を傾げたニールが勢いよく腰を引くと、じゅぶ、と音を立てて楔が引き抜かれた。
「あっ…」
ともだちにシェアしよう!