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マジかそんな馬鹿な嘘だろ(10)
「嘘だろ……」
身体中に散らばる赤い斑点と歯形の跡。
そっとそれらに触れてみた。
途端に、さっきの情事が浮かんできて、きゅんとお腹の奥が疼く。
マズい。
半勃ちになった自分自身を隠すように、散らばった下着とシャツを着て、ぎこちなく軋む筋肉を動かして起き上がった。
とにかくシャワーを浴びなきゃ。
ドアを開けると、ご機嫌な鼻歌交じりのニールが声を掛けてきた。
「俊樹!もう少しでできるから待ってて!」
「シャワー浴びてくるっ!」
そそくさとバスルームに駆け込んで、鍵を掛けた。ばさりと全て脱ぎ捨て、何気なく鏡を見た。
「っっ…」
絶句。
鏡に映った俺は、全身虫刺されに遭ったように所狭しと赤い斑点が浮かび、あちこちに歯形がついていた。
胸にじわりと幸せな甘い疼きが駆け上がってくる。
俺、本当にニールに愛されてるんだ。
そう思ったら、何だか泣けてきた。
擦っても擦っても、溢れて零れ落ちる涙に戸惑いながら、俺はシャワーを浴びた。
ニールに抱かれるようになってから覚えた後孔の始末も終え(あの後ニールがしてくれたんだろう、殆ど綺麗になっていた。小っ恥ずかしい)、着替えを持ち込まなかったことに気付いたが、バスタオルを巻き付けてドアを開けた。
食事の用意ができたのか、ニールがソファーに座っていたが、俺に気付くと近寄ってきた。
そして、俺の首筋や鎖骨を触りながら
「俊樹…あはっ、ごめん、こんなにして。
でも、俺のモノって感じがしてイイな。」
「どうするんだよっ!コレ!
シャツから見えるじゃないかっ!」
「大丈夫。ギリ隠れる位置だから。
…それにしても…風呂上がりの俊樹も色っぽくてソソる。
もう1回…」
「ばかっ!無理っ!ぜーったい、無理っ!!」
俺はニールの手を振り払い、寝室に駆け込んだ。
心臓がバクバクしている。
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