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マジかそんな馬鹿な嘘だろ(12)
そうだった。
悔しいけどコイツは何でもできる奴だった。
話し掛けられても恥ずかし過ぎて「あぁ」とか「うん」とかしか返せなかった。
お腹も満たされたところで、いそいそと食器を片付けるニールをぼんやりと見つめていた。
夢みたいな話だけど、さっき確かにお互いの思いを確かめ合って、その後、その、セッ……したんだよな!?
全身に残る気怠さと、まだ後孔に異物感があるような気がするのは…気のせいではないんだよな!?
明るい部屋で、真っ裸で睦み合った…
のし掛かるニールの身体の重さ、肌を滑る手の平の熱さ、息遣い、甘い声、自分の中で蠢くニールの太い楔、塞がれる唇の感触…
それらを思い出しては、身悶えしそうになるのを必死で堪えていた。
「俊樹、そんなに見つめられたら、俺穴が開いちゃうよ。」
鼻先に、ちゅっとキスされ、あっと思った瞬間にふわりと身体が浮いた。
「うわぁっ」
「こら、暴れないで。落としちゃう。」
そのままソファーに降ろされて、腰を抱かれて密着した。
心臓がどっどっどっ、と跳ねまくっている。
「俊樹、この荷物どうするつもりだったの?」
「えっ、あぁ…退職するし、満の目付役も必要ないから引越しを」
「もうその必要はないだろ?
満から『それは認めない』って伝言言付かってる。
俊樹さえ良ければ、このままうちに来ないか?
丁度良いじゃないか!」
「はぁ!?何言ってんの?そんなことできる訳ないじゃ」
ピンポーン
俺の言葉を遮るように、インターホンが鳴った。
ニールの腕を振り払い、慌てて応答する。
「はい。」
「お荷物のお届けでーす。家具類でーす!」
「あっ…そうだった…今開けます、どうぞ!」
はぁ…勢いで買ったアレかぁ…
よりにもよって、ニールがいる時に届くとは…
ため息をつきながら玄関に向かう。
もう一度インターホンが鳴って、超元気な宅急便の若者から荷物を受け取った。
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