80 / 174

マジかそんな馬鹿な嘘だろ(16)

(まぁ、早く片付くならいいか)と思い直して、ニールの言う通りに引き取って貰う物を一カ所に纏めていった。 それと同時に手早く拭き掃除なんかを済ませなから、到着したばかりの真新しい家具を組み立て、カーテンも付け替えていく。 「ニール、手慣れてるな。」 「あぁ、若い頃バイトしてたからな。 今も偶に駆り出されることがある。」 「そうなんだ。今来てくれる所か?」 「そうそう。人使いが荒いんだよ。ははっ。」 「それにしては楽しそうだな。」 「当たり前だろ? 恋人の部屋を一緒に新しく配置換えしてるんだぜ? “初めての共同作業”で、こんなにワクワクすることあるか!?俺は今、楽しくって堪らないんだ。」 屈託なく笑うニール。 「“共同作業”って…その言い方…」 「え?気に入らないのか?」 「気に入るとか、気に入らないとか、そう言うことでは……」 ピンポーーン 「あ!多分アイツらだ。」 ニールはダッシュでインターホンを覗いた。 「どうぞ!入ってくれ。」 ドアを解錠したニールは、玄関の鍵を開けに行った。 俺のことを何と説明するつもりなんだろう。 取引先の秘書?まんまだな。 知人?うん、無難な紹介だな。 賑やかな話し声が近付いてくる。 何となく落ち着かなくてソワソワしていると、ニールを先頭にガタイの良い男が2人入ってきた。 「初めまして。お世話になります! 『株式会社べんりー君』の取締役社長の向山 誠一(むこうやま せいいち)です。 ニールとは学生の頃からの付き合いで、時々手助けしてもらってます。」 丁寧に名刺を渡されたけど、生憎俺のは手持ちがなかった。 「ご丁寧にありがとうございます。 急に連絡差し上げたのに、対応していただいてすみません。 私の名刺は」 「堅苦しいことなしで!! 運ぶ物はどれ?」 俊樹さん!? 「は?」 「あ、ごめんごめん! ニールがマジ惚れって言うから、どんなひとかと思ってたんだ。」 ニールを睨みつけると、横を向いて視線を逸らしている。

ともだちにシェアしよう!