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マジかそんな馬鹿な嘘だろ(18)
「せめてお茶でも」と申し出たが
「今度飯でも一緒に。楽しみにしてます!」
「ニールをよろしく!」
と、笑いながら嵐のように去って行った。
部屋を見渡すと、山積みになっていたダンボールや発泡スチロールなんかのゴミは跡形もなく持ち去られ、俺の希望通りの配置換えがすっかり完了していた。
「行っちゃった…ゴミまで持って行ってくれたんだ…処分料どころか、逆に買取賃まで貰っちゃって片付けまで…申し訳ないよ。」
「な?アイツら良い奴等だろ?」
「うん…俺のこと、相談してたんだ…」
「相談というか、アドバイス貰ってたというか、愚痴というか」
「要するに『相手は男だ』と言ってたんだろ?」
「ああ。俺、真剣だったから。アイツらなら分かってくれると思ってたし。
怒ってる?」
「…怒る、というより…」
「そうだよな。相談するくらいなら、最初から本人に思いを打つければ良かったんだからな。
そのせいで俊樹を傷付けたんだ。
それは…悪かった。物凄く反省している。」
「……でも、ニールにあんないい友達がいて良かったと思う。」
「ははっ。俺もそう思ってる。」
きっと、何かにつけて目立つニールのことを色眼鏡で見ないで、丸ごと受け止めてくれてるんだろうな。
それに…養子縁組という名の同性婚をしている彼らは、ニールにとって心強い存在なんだろう。
「俊樹、さっきから思ってたんだけど。」
「何だ?」
「お前が新しく揃えた家具類は、どう見ても俺の故郷の北欧テイストなんだが…俺の思い過ごしか?
まさかと思うが…自惚れだと笑ってくれてもいいが…俺のことを思いながら揃えてくれたのではないのか?」
鋭い。じっと見つめられて視線が泳ぐ。
誤魔化しようのない事実を突き付けられて、逃げられない。
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