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景色が変わる(1)

…何だろうこれ…心地良い温もりと、トクトクと規則正しい心臓の音…あれ?俺のじゃない? じゃあ、誰の…… 「俊樹、おはよう。目が覚めたか?」 「…ん…おはよう……って…… うわぁーーーーーっっっ!!!」 ずざざっ、とベッドの端まで飛び退き、壁に張り付いた。 「えっ、ニール!?何で?えっ、どういうこと!? ああっ!俺何も着てないっ! 夢?そうか、夢か!」 はぁ…と物憂げにため息をついた美丈夫は 「俊樹…寝ボケてんのか? 昨日俺達、愛を確かめ合って恋人になったんだろ? …その恋人に対して『夢』ってどうなの?夢って…」 言われてみて、段々と記憶が甦ってきた。 「あっ……」 真っ赤になり俯く俺の側に、ニールが近付いてきた。 そして抱きしめられて、すっぽりとニールの腕の中に閉じ込められた。 「俊樹、おはよう。思い出した?」 「ううっ…うん…ニール、おはよう…」 恥ずかし過ぎて、顔から火が出そうだ。 ニールの胸に顔を突っ伏したまま上げられない。 「ふふっ、俊樹、かわいい♡」 「んなっ!?そんなこと、んぐっ」 朝っぱらから濃厚なキスを仕掛けられて、意識が半分飛びそうだ。 やっと唇を離したニールが、至近距離で囁く。 「…そんな顔をして…誘ってるのか?」 「そんな顔って…違うっ!朝から何やってんだよっ! はっ…今何時だ?」 ニールの腕から無理矢理抜け出して、目覚まし時計を掴んだ。 「5時!はぁ…良かった…」 「ということで。」 ニールにぐいっと引き込まれて、ベッドに倒れ込んだ。 「うわぁっ」 ポフポフと軽く跳ねた俺達は、どちらからともなく笑い出した。 くっくっくっ…ふふっ、くくっ… 鼻先を擦り合わせ、ニールが甘く囁く。 「あともう少し…恋人の時間を満喫させてくれ…俊樹、愛しているよ。」 「ニール…」

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