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景色が変わる(16)
…約束した通り、ニールは確かに『お利口さん』だった。
順番に風呂に入った後、ニールがハマっているというTVドラマを見た。
主演のカップルが両片思いで周りを散々巻き込んだ末に結ばれる、というベタな恋愛モノで、見ているこっちが小っ恥ずかしくなった。
へぇ、こんなのが好きなのか。意外。
ニールは『まるで俺達みたいだ』なんて呑気に笑っている。
そう言われれば…そんなヘラヘラ笑っている場合ではない。まさに満達を巻き込んでいるんだから。面目ない。
その間は、ずっと後ろから抱え込まれてくっ付き合っていた。普通にソファーに座って見ようと突っぱねたのに、いつの間にかこの体制になっていた。
密着している背中がじわりと暖かくて、肩に乗せられたニールの顔が真横にあって、俺はずっとドキドキしている。
不整脈でも起こしかねない状況だ。それでも一旦そうなると、この温もりから離れることはできなかった。
時折、胸の前で絡まるニールの腕がもぞもぞと動きかけては止まる。
ちらりと横目で見ると、バツの悪そうな顔をして俺の視線から目を逸らす。
ははーん、あちこち触ろうとしては理性で抑え込んでいるのか。一応、俺の厳命を守っているらしい。
ドラマが終わると、俺の身体の負担にならないように、と手を繋いでベッドに横になった。
ホッとした…よりも、何か物足りない気分になっている自分自身に驚きながら、そっと目を閉じる。
ニールはいつでもその気になりそうだが、明日のことが気になる俺は、辛うじて冷静さを装っていた。
でも…お互いに我慢比べのような気がしてくる。
側に、自分以外の温もりがあるのは、まだ慣れない。けれど、それがとてつもなく安心できて心が凪ぐこの感情を噛み締めていた。
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