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景色が変わる(17)

ピピピピピ アラームがいつもの時間になった。 頭はぼんやりしているけれど、すぐさま停止ボタンを押して、また布団に潜り込む。 春の陽だまりのような心地良さの温もりに顔を擦り付けて……んんっ!?何だこれ!? 「おはよ、俊樹♡」 「うわぁーーっ!!!」 「…そんなバケモノでも見たような反応は止めてほしい…」 「ごっ、ごめんっ!…おはよう、ニー、ぐえっ」 何故か素っ裸のニールに抱きしめられた。 オマケにキスまで降ってくる。 「…ちょっ、ちょっと待ってニール、何で全部脱いでんの?」 「ん?あぁ…俺、寝る時は何も着ないから。 無意識に脱いじまったんだな、きっと。」 そう言って身体を密着させるニールの下半身は、元気そのもの。それをさり気なくアピールする様にぐりぐりと動かしてくる。 ヤバい。朝の生理現象でコッチまでつられてしまう。 「苦しい、離せ」とバシバシ腕を叩くと、ニールが少し力を緩めたその隙に、腰を引いて逃げ出した。 「とーしーきぃーー」 情けない声が背中を追ってくるが、無視した。 まだ心臓がドキドキ走っている。 朝っぱらからあんなモノ見せられて、フェロモンムンムンの躯体に抱きしめられたら、俺の理性は忽ち吹っ飛んで、また今日1日ベッドの住人になってしまう。 ダメだ。俺の身が()たない。 取り敢えず洗面を済ませ(俺のムスコはいい子だった)、タオルと新しい歯ブラシをセットして、キッチンに行き冷蔵庫を開けた。 「あー…空っぽだ…」 怒涛の数日間で、買い物をすっかり忘れていた。 「どうしよう…」 「何が“どうしよう”なんだ?」 ひえっ! 思わず耳を押さえて飛び退くと、ニールがパンイチで冷蔵庫を覗き込んでいた。 「…俊樹、少し早く出て、モーニング食べに行くぞ。 ほら、支度して。」 その方が賢明だ。俺は急いで支度を始めた。

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