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景色が変わる(23)

一服した後は頭の中からニールを追い出し、また仕事モードに切り替えて没頭した。 親父とやり取りしながら、満と檸檬君の結婚報告の葉書を公私2種類、たたき台を作成する。 これを見たらひっくり返る人達が続出するな。 まぁ、封じ込めは本家に任せるとしよう。 会社(こちら)に飛んで来る火の粉は、俺が身体を張って吹き払ってやる。 それを親父のパソコンに送信してから、お祝い返しの候補を幾つかあげて、それも送っておいた。 「黒原さん、そろそろ上がりの時間ですが…」 「うわぁ、ホントだ。もうそんな時間か…… 檸檬君の進み具合はどう?」 「大丈夫です!順調に進んでいるので、明日には見ていただけるかと。」 「了解!俺、今日は定時に上がるよ。 休み明けにどうかと思うんだけど……」 「どうぞ!後片付けは俺が! 黒原さんの、あの鬼神が乗り移ったかのような仕事っぷり、凄かったです!」 「いやぁ、それ程でも」 コンコンコン ガチャ 「俊樹!迎えに来たぁ!」 「ニールっ!?何やって、うぐっ」 どうぞとも返事をしないうちに勝手に入ってきたニールにハグされた。 「ばっ、ばかっ!離せっ!」 「へへっ。俊樹、会いたかったぞ!」 「だから、離せっ!」 ゲンコツで思いっ切り肩を叩くと、流石に痛かったのか顔を歪めて少し力を緩めた隙に、後ろへ飛び下がった。 油断も隙もない。コイツの距離感は日本人じゃない! 「痛たたっ…俊樹、酷い…これ、恋人にする仕打ち?」 「何馬鹿なこと言ってるんだ!?場所を考えろ、場所をっ!! ここは会社!俺はまだ仕事中!邪魔するな! それに入室を許可した訳じゃない! 出て行けっ!!!」 「ううっ…俊樹ぃ…」 「あの…社長、良かったらコーヒーでも…」 「檸檬君、コーヒーもお茶も不用だ。 社長はすぐお帰りになるそうだ。 社長、お帰りはあちらです。」 ドアを開けて誘導すると、少し涙目のニールはすごすごと出て行った。

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