116 / 174

景色が変わる(32)

その後の俺は…… 破顔したニールに横抱きにされ、まんまとベッドに連れ去られた。 俺の手首をそっとシーツに縫い止めたニールは、俺の目をひたすらに見つめながら囁く。 「…無理強いはしない。でも、俺は俊樹とひとつになりたい。 俊樹、俺を愛してくれ…ダメか?」 ズルい。俺に選択させるなんて。 それならハッキリと『抱きたい』『抱かせろ』って言ってくれた方が、恥ずかしくなくていいのに。 このまま“NO”を突き付けることもできる。 でも、愛する恋人()にこんなに求められて、拒否できるか!? 俺だって欲はある。抱きたい。抱かれたい。 下半身に、じくりと熱が溜まっていく。 “YES”の言葉が出ない代わりに、俺は大きく頷いた。 ニールが「ありがとう」と嬉しそうに呟きながら、唇を重ねてくる。 柔らかな感触を受け止めながら、目を閉じた。 顔中、ニールの唇が触れてくる。 俺の手首から離れた手は、俺の服を一枚ずつ脱がせていき、少しひんやりとした空気が肌に当たる面積が増えてくる。 目を瞑っている分、感覚が敏感になっているようだ。 開きたくても、自分が素っ裸にされていく様子を見るに耐えず、ぎゅっと目を閉じていた。 俺の服を全て取っ払ったのだろう、寒くないようにと布団が掛けられたのか、大きな布がふわりと身体を覆った。 最初はヒヤリとしたが、そのうちに体温で温まってくる。 少し離れた場所から、カチャカチャ、ぱさりぱさりと音が聞こえてくるから、ニールが服を脱いでいるのだと思う。 布の片側からニールが滑り込んできて、俺を抱きしめた。 「はぁ…」 安堵感と人肌の心地良さに、思わず声が出た。 「俊樹…ただこうやって抱き合ってるだけなのに、気持ちいいよな…」 「…うん…凄く…気持ちイイ…」 同じ気持ちでいてくれて、嬉しくなった。

ともだちにシェアしよう!