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憧れ(1)

恋人ができた。 何度も言うけど、恋人ができた。 こんな俺には不釣り合いの、ハイスペックな“男の恋人”が。 本当に俺でいいんだろうか。 彼ならどんな相手でも選び放題なはずなのに。 何故俺なんだろう。俺でいいのか? 「俊樹、また頭がグルグルしてんのか? いい加減、俺を生涯の伴侶だと認めろ!」 彼は、そんな俺の不安を甘いキスと言葉で簡単に拭い去っていく。 「…突然降ってきた幸せに馴染めないんだ。 ホントかな…これ、夢じゃないのかな、って。 俺みたいなのが、ニールの側にいてもいいのかな、って、んっ」 塞がれた唇が、甘く蕩けていく。 中に入れさせろ、とノックするニールの少し細い舌を受け入れて、口内を嬲られる。 「んっ、むっ…んっ…」 俺がはぁはぁと息を荒げるまで口を蹂躙したニールは 「俺はお前の伴侶だ。どうしたら認めてくれる? …形にしないから不安なんだろ? 俊樹と付き合うようになってから、俺なりにずっと考えていたんだ。 結婚式を挙げよう!…今の世界情勢では帰国するのも難しいから、こっちで。 俊樹は俺の養子でいいか? パートナー制度はまだ完璧じゃないからな。 俺達にとってはその方がいいかもしれん。」 「はあっ!?何言ってんの?急すぎる! ニールの立場でそんなことできるわけないだろ?」 「俺の立場?プライベートは関係ないよ。 俺はただのニールだから。 満が挙式する、あそこはどうだ? 評判もいいし空いてる日で。」 「お前の家族にはどう説明するんだ!? …俺の家族だって……」 「俺の家族は問題ない。もう話してある。 凄く喜んで祝福してくれてる。 落ち着いたらトシキに会わせてくれと言ってる。 俊樹の家族には勿論、早急にご挨拶に伺う。 俺なりに、既に根回しして段取りを進めているんだが。」 「根回し?段取り?」

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