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憧れ(13)

その瞬間、俺とニールを繋ぐ輪がキラリと光を放った。 「「あ…」」 2人同時に声を上げ、顔を見合わせた。 「…俊樹…やっぱり、コレだ…」 俺は声もなく頷いた。 俺達が選んださざ波の愛情は、一旦引いて波打ち際まで寄せては返す。 これでいいよ、とでも言うように。 俺達は指輪を重ねたまま、じっと見入っていた。 柔らかな視線を感じて顔を上げると、オーナーが心底愛おしそうな顔で俺達を見つめていた。 「“この子達”もお2人を選んだみたいですね。 サイズや刻印の有無等…詳しくお聞きしていきますね。」 指輪に選ばれる…そんなことがあるんだろうか。 偶然かもしれない。いや、実際に目の前で起こった事実は間違いない。 ニールは嵌めていた指輪を俺の分も順番に抜き取ると、ビロードのトレイに優しく置いた。 “さざ波”には「これからもよろしく」と。 そして、選ばなかった指輪達にも小さな声で「ありがとう。君達にも良いご縁を」と呟くのが聞こえた。 胸がきゅぅっとした。 何て細やかな優しい行動が取れる男なんだろう。 知らなかった彼の一面を知って、俺はニールという男に惚れ直していた。 俺が縁を結んだ男は、心の綺麗なひとだった。 ニールの囁きはオーナーにも届いたのだろう。 「…そんなお礼を言ってくださる方に初めてお会いしましたよ。 こちらこそありがとうございます。 言葉を発しないこの子達に代わってお礼を申し上げます。」 「いや、そんな…すみません、聞こえてしまいましたか。 ついつい思ったことが口から出てしまって… 俺と俊樹を結ぶことを受け入れてくれた、と思ったら嬉しくて、つい。」 「アンダーソンさんは、そういうことをキャッチできる方なのですね。 この子達は、どんな時もあなた方を繋ぎ結び、その存在を確かめてくれるでしょう。」 俺は涙腺が緩んでしまって、オーナーの笑顔もボヤけてしまっていた。

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