137 / 174

憧れ(20)

それからは悔しいことに、ニールの思い通りの展開になっていく。 「自分で拭くから」と言っても、ニールは黙って笑いながら首を横に振って拒否する。 諦めてため息をつきしたいようにさせると、壊物を扱うかのように、全身を拭き上げられ髪の毛も乾かしてくれる。 水をひと口、口移しに含ませられた後は、軽々と抱き上げられて当然のように寝室へ運ばれた。 「…ニール。俺は自分で、んっ」 何か言いかけると、唇を塞がれてしまう。 これじゃあ、キスが欲しくて反発するようなものに見えてしまう。 ベッドに下されて見下ろされると、これからアラレもない姿で愛されるのを想像してしまい、顔が火照ってくる。 「俊樹、顔が赤い。逆上せたか?」 どう答えていいのか視線が泳ぐ。 そんなこと言えるかっ。 「…落ち着くまで、抱きしめ合おう。」 ニールは俺の隣にごそごそと滑り込んでくると、俺を抱きしめて収まりの良い体勢になった。 2人を隔てる物は何もない。 まだ少し湿り気のある素肌から、ニールの雄の匂いがする。 あぁ、好きだ、この匂い。 これから、この匂いに包まれて……… 「…俊樹…心臓が壊れそうな音がする。」 「誰のせいだと…」 「ははっ、俺のせいだな。」 「分かってるなら」 「ごめん…実は俺も……」 ニールは身体をずらすと、俺の顔を自分の胸に押し付けた。 ドッドッドッ、と早鐘のような音が聞こえた。 思わず顔を上げると、ニールの視線と打つかった。 「俊樹と愛し合えると思ったら、期待と緊張とで興奮しちゃって。 …身体を繋げなくても、俊樹のことを考えただけでコレだから…」 少し照れ臭そうに笑うニールに、心臓を鷲掴みにされる。 ううっ…これ以上、俺をどうしようって言うんだ!? 心臓が保たない…

ともだちにシェアしよう!