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結ぶ(1)
あれから季節が2つ通り過ぎて。
とうとうこの日がやってきた。
ここまで時間の経つのが何と早かったことか。
鏡には、白いタキシード姿のニールと俺。
ニールは引き締めようとするのに顔面が崩れっぱなしで、逆に俺は緊張し過ぎて能面のような顔になっている。
「俊樹、スマイルスマイル!
俺ばっかり変な顔になってる!
このままだと俺は『無垢な花嫁を無理矢理略奪してきた輩』にしか見えねぇーっ!」
「…笑いたくても緊張して笑えない…頬の筋肉がピキピキ言ってる…」
「マジか…」
そんな会話の最中、遥さんがノックをして入ってきた。
「はぁ…素敵ですね…
やはりお2人とも白がとてもお似合いです。
俊樹さん、ブーケはあちらのテーブルにご用意させていただきました。」
「何か、その…今更なんですけど…」
「はい、どうされましたか?」
「ブーケって…女性が持つ、っていう固定観念があって…俺は男なのにいいのかな、って…」
「ブーケにはね、こういう言われがあるんですよ。」
と遥さんが説明してくれた。
かつてヨーロッパでは、プロポーズをする男性が自ら愛する女性のために花を摘み、花束を作ってプレゼントしたという。
その承諾の返事として、女性がブーケの中から1輪を選び出し、男性の胸元へ挿してあげたそうだ。
「あぁ、だから俺の胸元の一輪はブーケと同じ種類の白薔薇が挿してあるんですね。」
「そうなんです!
花を決めていただく時に、お2人で色や花言葉なんかもお調べになったでしょう?
ですから、ブーケもお相手への愛の証のひとつなんですよ。
今は装飾の一部として扱われていますがね。
どちらかというと、引き立て役だと思われている節があります。」
遥さんは丁寧に説明してくれた。
そう言えば、先立って教えてくれたような…あの時にも舞い上がっていたから記憶が……
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