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結ぶ(2)
「そう言われれば…そんな説明をして下さったような気が…ぼんやりしてて申し訳ありません。」
「いえいえ、ご心配なく。大丈夫です!
ご納得のいくまで、何度でも説明させていただきますよ。」
テーブルには、全て白色で統一されたブーケが精一杯の主張をして俺を待っていた。
ブーケの花をどうするかでニールに相談した時に『花言葉で決めよう!』と提案してくれて、遥さんのアドバイスを貰いながら2人で調べて決めたんだった。
薔薇『永遠の愛』、ダリヤ『感謝』、カランコエ『あなたを守る』、ストック『見つめる未来』、カーネーション『純粋な愛』…そのどれもがお互いの存在を邪魔することなく、凛とした美しさを醸し出していた。
俺はテーブルに近付いて、ブーケを抱きかかえた。
どの花も、俺達の思いを表している。
「ありがとう。」
自然に感謝の言葉が口から溢れた。
俺は白い花束に向かって謝った。
ごめんね、選んだこと忘れてて。
俺達が出会ってから…思いを交わし合って…そして未来へ。
その思いを託したブーケ。
俺はブーケを抱えてニールの前に立つと
「ニール、お前から受け取りたい。」
と告げた。
ニールはにっこりと微笑むと、俺の手からブーケを両手で受け取ってくれた。
そして何と跪いて俺に差し出すと
「俊樹、思いを込めたこのブーケ、受け取ってほしい。
あなたを生涯変わらぬ心で愛し続けます。」
まるで映画のワンシーンみたいで。
最高に格好良くて見惚れていると「返事は?」と催促された。
慌てて受け取り
「謹んでお受けいたします。
ニール、あなたを生涯変わらぬ心で愛し続けます。」
そして俺も跪いて、ニールの胸元の白薔薇にそっと触れた。
にかっ、と満面の笑みを浮かべたニールは立ち上がると俺を軽々と横抱きにして尋ねた。
「遥さん、このまま入場しちゃっていいですか?」
「勿論!…ですが、腰を痛めないようになさって下さいね…」
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