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結ぶ(3)

俺達は顔を見合わせて吹き出した。 『腰を痛める』…初夜どころの騒ぎではない。 結婚式すら危うくなる。 流石にそれはまずい。 「ぶふっ…ホントだ…遥さんの仰る通り… 今夜に差し支えると困る。 新郎が腰をやられてちゃあ話にならないからな。」 「くくっ…もうっ…そんなこと口に出して言わなくてもっ! とにかく下ろしてくれ!」 俺達は大騒ぎしながら並んで立つと、差し出されたニールの手を躊躇しながら繋いだ。 「もう離してやらないからな。」 「だから、もう、そんなこと言わないでもっ」 「喧嘩するほど仲が良いと申しますが… そろそろ参りましょうか。 お2人で一歩ずつしっかりと歩んで下さいね。」 遥さんの言葉も視線も限りなく優しくて。 俺は片手をニールにがっしりと繋がれて、片手にはあのブーケを抱えて。 先導されて、俺達は真っ白のチャペルを目指して歩く。 俺達たった2人だけの空間。 誰かに立会いをしてもらおうかとも思ったが、結局2人だけの式を選んだ。 人生でこんなに緊張したことなんて…ニールと結ばれたあの時以来か… 心臓は口から飛び出しそうだわ、血圧でも上がりきっているのか目眩がする。 そんな状態でニールに手を引かれて、バージンロードを歩く。 頭はふわふわ、足取りは覚束ない。 これは夢か現実か。 高らかに鳴り響くウェディングマーチも 荘厳な雰囲気の賛美歌も 誓いの言葉も 指輪の交換も 何もかもがぼんやりとしている間に進んでいく。 気が付くと、ニールに誓いのキスをされていた。 「俊樹、永遠の愛を誓うよ。 愛しています。」 「俺も…愛しています。」 二度、三度と重ね合う唇。 最後には神父さんが見兼ねて咳払いを始めた。 ここでのキスは一度だけだろ!? 思わず、きゅ、と睨んでも、ニールはぺろりと舌を出して笑っている。

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