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結ぶ(5)
と、そこへノックの音がした。
「はい、どうぞ。」
ニールの返事を待って開いたドアから遥さんが「失礼いたします」と入ってきた。
「素敵なお式でしたね。
あの…これをオーナーから預かってきました。
もしよろしければお受け取りいただければ嬉しいのですが…」
「ありがとうございます。何だろう…開けてもよろしいですか?」
「勿論です!」
ニールが紙袋から平べったい箱を取り出した。
俺は、テーブルの上に置かれたそれが開いていくのをドキドキしながら側で見ていた。
「「あっ」」
それはフォトフレームだった。
真ん中の大きめの写真は、フラワーシャワーの中を俺達が手を繋ぎ、視線を合わせて微笑みながら階段を降りてくるもの。
右側は指輪の交換の時の。
左は逆光を浴びて2人の姿がシルエットになった誓いのキスの写真だった。
「凄い…どうしたんですか、これ?」
「ビデオもご不要だということでしたし、お2人だけのお式でしたから誰かが写真を撮るということもなかったので。
差し出がましくて勝手をしましたが、オーナーがどうしても記念に残る物を差し上げたいと申しまして…
あの、お気を悪くされたのでしたらこちらは私共の方で」
「いいえ!喜んでいただきます!な、俊樹!?
いや…どうしよう…本当に…
ありがとうございますっ!!!
こんな、こんな素敵な物をいただいてしまって…嬉しいです!」
「お気遣いいただきましてありがとうございます!
あの、俺のワガママで…自分達の心に残ればいい、ビデオも写真も恥ずかしくて嫌だとゴネてゴリ押ししちゃったから…
ニールの気持ちも考えないで全部断っちゃって…ニール、ゴメンね。
遥さん、オーナーさんにもどうぞお礼を…」
そこまで言ったら何故か泣けてきた。
写真に収まった俺達は本当に幸せそうで。
さっきのドキドキや厳かな雰囲気が思い出されて、一気に頭の中を駆け巡っていた。
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