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結ぶ(8)

俺たちの視線の先には、あのフォトフレームがあった。 「…ニール…俺、ニールに謝らなくちゃならない。」 「何を?俊樹は何もしてないんだけど?」 腑に落ちない様子のニールが俺の肩を抱き、人差し指で頬を撫でる。 擽ったくて首をすくめても止めてくれない。 「…ちょっと…ニール、擽ったい…」 俺はニールの指をそっと外して、正面に回り込み足元に正座した。 「俊樹?どうしたの?」 俺は首を横に振ると、両手をつき頭を下げた。 「ニール、本当にごめんなさい…俺、ニールの気持ちも分かってたけど、一度言い出したら引っ込みがつかなくなって…何度も伝えようと思ったんだ…でも言い出せなくて…… オーナーご夫夫からのあのプレゼントを見た時に、俺…俺… ニール、一生に一度の大切な時間を…ごめんなさい…」 最後の方は胸が詰まって苦しかった。 ニールは…黙って聞いてくれていたが、俺が言い終わると俺の両脇に腕を差し入れ、ひょいっと持ち上げるとそのまま対面になるように膝の上に座らせた。 「そんな風に思ってくれてたんだ…」 こくこくと頷く。 もうニールの顔は涙でぼやけている。 ニールは鼻先同士をこつんとくっ付けると 「怒らないで聞いてくれる? 実は……俺も謝らなきゃ……俊樹には黙ってたけど……こっそり遠くからビデオだけは撮ってもらっていたんだ。 でもそのことで言い争いになるのは嫌だったんだ。 だから…黙っててごめん。 流石に写真はシャッター音でバレそうだと思ったから、撮ってないけどね。 隼人さんが隠れて写してくれてたんだなぁ… なぁ、俊樹。 幾ら記憶の中に残るとは言え、時が経つとあやふやな物になっていくだろ? お前が何と言おうと、俺は目に見える形として残しておきたかった…」 ニールは、ごめん、ともう一度呟くと俺にキスをした。

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