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結ぶ(9)

「ビデオ!?…ニール…何かやってるとは思ってたけど…お前はやっぱり策士だな。 でも…俺が素直になってちゃんと話し合っていれば、あんなにケンカしたり言い争いなんかすることはなかったし、ニールが隠れてコソコソとする必要もなかったんだ。 ニール、ごめんなさい。沢山嫌な思いをさせてしまった… 俺、素直じゃなくって……」 ニールは微笑みながら、俺のおでこと唇にキスをすると 「俺を誰だと思ってるんだ?俊樹の最愛の伴侶だぞ!? 俊樹の性格なんてお見通しだよ。 それがやっかいでもあり、堪らなく愛おしい。 だからもう、気にするな。 俺も勝手なことをしてごめん。 それにしても…あの写真は本当にいいな… シャッターチャンスを見事に捉えている。 俺はこっそりとビデオから引き抜こうと思ってたんだけど… 人に対する思いやりだとか、どうしたら1番喜んでもらえるか、だとか…損得なしの行動ができるって素晴らしいよな。 だから人が惹き付けられて寄ってくるし、あそこで働くスタッフ達も本当にイキイキして、客のために全力投球してくれる。 そういう所にご縁があったことは、これからの俺達にもプラスになるよ。 俺もそうありたいと思う。 俊樹…これからの長い人生、喧嘩もありだ。 でも、ちゃんとお互いの納得のいくまで顔を合わせて話をしよう。 例え喧嘩をしても…ご飯は一緒に食べるし、ベッドも同じだ。 黙って出て行ったりするのは無しにしよう。 いいね?」 ニールは優しく言いながら、俺の髪の毛を掻き上げている。 何となくその指先に、色っぽいものが混じり始めているのに気付いた。 「…分かった…約束する。」 「OK、いい子だ。 さぁて俊樹、一緒に風呂に入ろうか。」 「うっ…だっ、ダメだっ!俺はから、ニールが先にどうぞっ!」 慌てふためく俺を楽しそうに眺め、ニールは笑いながらバスルームに行ってしまった。

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