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結ぶ(12)
洗面所の壁にドン!
背中がぴったりと接着し、両手はバンザイした形で縫い留められた。
数センチ先にニールのドアップ……
ニールの青い瞳の瞳孔が開いている…あぁ、俺の好きな色だ…
これが所謂“壁ドン”というやつなのか…へぇ…
ハッ!!!
感心している場合ではない!!!
「あっ、あのぉ…ニール?」
恐る恐る名前を呼んだ。
ニールは肉食獣よろしく、ぺろりと舌舐めずりをすると
「“色々とすること”を済ませたら、早くおいで。
…ベッドで待ってるから。」
最後の台詞は耳元で囁かれた。
ぶるりと身体が震える。
ヤバい。耳だけで犯されそうだ。
唇に触れるだけのキスを残すと、ニールはニヒルな笑みを浮かべて出て行った。
ドアが閉まった瞬間、膝の力が抜けてその場にへたり込んでしまった。
うっわぁーーーーーっっっ!!!
両手で耳を押さえて身悶えする。
ヤバい、ヤバい、ヤバい
バレた、バレた、バレた
マズい、マズい、マズい
その3つの単語しか出てこない。
取り敢えず、はぁはぁと息を整えてみる。
心臓は相変わらずバクバクと跳ねている。
少し落ち着いて立ち上がり、上着を脱ぎ掛けて…ポケットの中身を取り出した。
それは空気を纏って、ひらりとレースが揺れた。
「あれって…喜んでる…んだよな?
拒否はされてない…というより、『待ってるから」って……」
あー、もう!あーーーーーっっっ
俺は居た堪れなくてソレを籠に突っ込み、着ている物をばさばさと思い切り良く脱ぎ捨てると、コックを乱暴に捻りシャワーを頭から浴びた。
「冷たっ」
やがてそれは程良い温もりとなり、全身を隈なく覆った。
肌を弾く水滴が壁に当たり、それらは見る間に水蒸気となって視界を遮っていく。
『ダンナ様に中々の評判』
遥さんの何か含んだ物言いが蘇った。
ニールも…嬉しいんだ…………
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