157 / 174

結ぶ(15)

心臓が口から飛び出しそう、というのは本当だ。 いや、心臓が出る前に嘔吐しそうなくらいに緊張している。 ええぃっ、どうにでもなれっ! 覚悟を決めた俺は、大きく深呼吸して…ドアを開けた。 カチャッ 仄暗い部屋のベッドの上に、ニールが腰掛けているのが見えた。 逞しい上半身を晒して、腰回りにバスローブを纏わせている。 雄の色気がビンビンに伝わってくる… 「…俊樹…待ちくたびれたよ。」 ニールが立ち上がってこちらに向かってくる。 俺はその瞳にロックオンされて身じろぎひとつできないでいる。 ニールは俺の前で立ち止まると、すっと膝を付いた。 そして、俺の左手を恭しく持ち上げると、手の甲と薬指にそっと唇を押し当てた。 俺の前に跪くknight(騎士)…まるで映画のワンシーンみたいで、声も出さずに固まっていると 「俊樹…俺と結婚してくれてありがとう… どんなことがあっても、一生離れないと、改めてこの指輪に誓う… 愛しています。」 「ニール……」 ニールは、ふわりと俺を横抱きにすると、ベッドへと運んでいった。 ギシ…と、2人分の重みを受けたスプリングが鳴り、これからの行為を思うと、頭が真っ白になっていく。 ニールは、俺のバスローブの紐をゆっくりと解き、左右に割った。 どんな反応をするんだろう… 俺はそれが気になって、ニールをじっと見つめていた。 ニールは目を見開いて「wow…」と呟いた後、俺の頬を撫でながら震える声で言った。 「…excellent(最高だ)fantastic(素晴らしい)marvelous(すっごくいい)… 俊樹、美しくて言葉にならないよ… ねぇ、もう少しちゃんと見たい…」 ニールは手を伸ばして枕元のスイッチを捻った。 照明がさっきよりもぼんやりと明るさを増した。 ニールの顔も肌もハッキリと見える。 「えっ!?待って!明るくしないで! ニール、ヤダっ!!!」

ともだちにシェアしよう!