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マックside 信じとるのは
「ガムは?」
「普通に寝たで」
ちょっとした廊下を通り、階段を上がっていく。
2人とも部屋が2階やねん。
ガムは少林寺拳法の有段者……というか元の家が道場やったらしい。
戦闘班で一番を誇る強さやのに、ムードメーカー。
朝練を欠かさず行って、ガム特製ミルクを飲むのが強さの秘訣っていつも言っとる。
由希仁も柔道で強かったんやけど……そういえば、戦っとるところ見たことないわ。
「ジャッキーは?」
「今ごろ、大きいいびきかいてるんちゃう?」
たぶん、さっきから度々名前が出てくる出てくるジャッキーは俺らのオカン。
定食屋で働いていたくらい料理が上手く、食へのこだわりはメンバー1。
あまけにお節介やきで、俺より心配症。
俺との出会いもあいつのお節介がきっかけやったな。
豪快な性格に豪快な話し方と笑い声。
絶対口喧嘩はしたない奴……うるさいねん。
こいつも由希仁をかわいがっとったわ。
「トッポは?」
「この前頼んだ新薬の開発は昨日終わったから、たぶん……寝とるはず」
「もう、マックからも言うたってよ!」
「ジャッキーの方が聞くやろ」
トッポは情報班の1人。
俺と出会う前から由希仁とジャッキーとつるんどった。
プログラミングと新薬の開発の腕はピカイチ。
あとはゲームの腕も。
でも人と関わるのが大の苦手で、1人作業に夢中になると、寝ることも食べることも忘れてまうねんな。
そんなトッポの心まで開かせるなんて、由希仁すげぇな……おん。
「あっ! マックもやからね!!」
急に大きな声を出すから、びっくりし過ぎて身体がビクッと震えた。
「なんじゃボケ!」
あかん、夜なのに。
「すまん」
「俺もごめんね」
素直に謝るところに育ちの良さが滲み出る。
「あなたも夢中になったら、徹夜するやんか……あかんよ」
穏やかに言われたら、はいって言いそうになるな。
「用が済んだら、寝ます」
「頼むで、ブレーン」
先に部屋に着いた俺の背中を2回叩くジョニー。
「おやすみなさい」
穏やかに笑いながら、ジョニーは奥の部屋へと歩いていった。
「おやすみ」
俺は静かに言って、部屋の中に入る。
バタン
ドアが閉まる音が聞こえた後はピーンという静かな時になる謎の音が響く。
「ほんまに……終わったらな」
ジョニーに言ったのか、俺自身に言ったのか。
それとも、由希仁に言ったのかはわからない。
恐らく、神様さえもわからんやろな。
まぁ、ほんまに神様がおるんなら。
俺らをなぜこんな目に会わせてるのかを教えてくれや。
ほんにな。
俺が信じとるのは……8人だけやわ。
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