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②
「八嶋、顔赤くなってるのやばいよな、バレない?」
気づかなかった。一緒に飲んだ顔を見てみても全員が涼
しい顔をしている。たった一口しか飲んでいないというの
に見ただけで酔っていると知られてしまう僕はどれだけ酒
に弱いのだろう。
「顔見せないように下向いとけばいいよ。そういえば俺マ
スク持ってるからつければ?」
隣の席の三浦が渡してくれる。
「そうだね。そうしておく。ありがと。」
一時間目から運が悪い。担任の社会の授業だった。授業
が始まってすぐに当てられて黒板に書かなければいけなく
なった。そうなればいくら後ろの席にいてもマスクをつけ
ていても先生の近くで顔を見せることになる。
「八嶋大丈夫か?顔赤いぞ。ふらふらしてるし、保健室行
くか?」
「大丈夫です。」
まずい。ここで気づかれたら僕たちの悪事が明るみに出
てしまう。それだけは避けたい。それなのに、
「お前ら、八嶋保健室に連れてってくるからちょっと自習
な。」
「八嶋、熱測るだけでもいいから、行くぞ。大丈夫だった
ら戻ってきてもいいから。」
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