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告白 6
「ひぃ!!」
僕は跳ね起きた。
怖い怖い怖い。
僕はアイツに抱きついた。
しがみつく。
「にゃあ」
猫は両目を開けた。
首だけで。
しかもその声に隣りの首も目を覚ます。
「にゃ~」
その隣りの首も。
「にゃ、にゃ~」
鳴き始めた。
首だけなのに。
「怖い怖い怖い」
僕はアイツを抱きしめる。
しがみつかせて。
助けて。
怖い怖い怖い。
「お、お前・・・」
アイツが戸惑ったような声をあげたが構わない。
必死で抱きしめる。
「にゃあ」
「なぁ」
「なーなぁ」
猫達は口々に鳴き始め、僕はびびりまくってアイツを抱きしめる。
「怖い・・・あかんて、あかんて」
僕は必死でアイツを抱きしめる。
「助けて・・・助けて」
僕は泣き叫ぶ。
こういうのあかんねん。
「落ち着け!!」
アイツが腕の中でもがきながら叫ぶ。
「怖いやんか。怖いやんかぁ。助けてぇ」
ガタガタ震えて叫ぶ。
「なぁ~」
「にゃあ」
「みぃ」
鳴き声は響く。
パニックになる。
ガツンとした痛みが顎に走って、頭がくらくらした。
アイツが僕の顎に頭突きをかましたのた。
「落ち着け言うてんねん・・・あれは死んでへんのや!!」
アイツが耳許で怒鳴った。
「死んでへん・・・、ほんならお前、子猫を首まで埋めたんか。酷いことすんなぁ」
僕は泣きながら言う。
「・・・お前のオレのイメージはようわかったけどな、そんなんしてへん。とにかく落ち着け」
アイツが叫ぶ。
僕はとりあえず叫ぶのはやめて腕の中のアイツを見つめる。
アイツは真っ赤になっていた。
首筋まで赤い。
僕は腕を緩める気は全くなかった。
怖いやん。
しがみつきたい。
「ええから、ひびるなよ。絶対にびびるなよ、ちょっと見てみ」
アイツは言った。
泣いてる地面の上の猫の首を涙でかすむ目で見つめる。
猫達は泣いていて・・・、アイツが足をドンと踏み鳴らしたなら、首はふわりと動いた。
へ?
何、これ?
猫は首から下に蔦のようなものを生やしていた。
いや、蔦のようなモノの先に・・・子猫の頭があるのだ。
葉のある蔦は生き物のように蠢いていて・・・その先に猫の頭がついていたのだ。
「ぎゃぁぁぁああ!!!」
生首以上にそれは恐ろしく、僕は叫んだ。
アイツを抱え込んだまま、僕は倒れ込んだ。
「おまえ・・・なに」
アイツの上に覆い被さったままアイツを抱きしめて震えていた。足元には首の生えた植物が、蠢いているとわかっているのに身体はうごかなかった。
「夢や。こんなん夢や」
僕はぶつぶつくりかえす。
「夢・・・」
僕の腕の中でアイツが言った。
「そうや、おまえは夢を見てるんや、な、だから落ち着け」
アイツが言った。
なんかそう言われたらホッとしてきた。
「夢、なんか」
アイツに囁いた。
「そやから、腕外して?痛いんや」
アイツは真っ赤な首筋を見せながら言った。
「うん」
僕は腕を緩めた。
夢なんや。
なら、この腕離さんでもええな、何故かそう思った。
「外せ言うてんのに・・・」
アイツがため息をつく。
「怖いから嫌や」
僕は断言する。
夢ならば一ミリも強がらないぞ、僕は。
「ああもう、わかった。これは夢や。お前はな、夢の中でちょっと別の世界を見てしまったんや。大丈夫、一時間位したら元の世界に戻る。世界が混じっただけや、ここは狭間やねん」
アイツは僕の腕の中で落ち着かない風に言った。
僕は夢ならいいやと思ってアイツの真っ赤になっている首筋に顔を埋めた。
「一時間・・・?妙に細かい夢やな」
僕はアイツの首筋の匂いを嗅いだ。
なんか、すごくいい匂いがした。
「お前・・・何・・・やめろや」
アイツがまた腕の中でもがきはじめた。
「これ、夢なんやろ・・・」
僕は囁いた。
もがいたところで、可愛い位の抵抗でしかない。
僕はアイツを抱き締めたまま身体を起こした。
ゆらゆらと猫の首を生やした蔦は絡まり合いながら動いていた。
ああ、夢や確実に夢や。
こんな現実あらへん。
ほんなら、ええな。
何がええのか分からへんけどそう思った。
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