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告白 13

 「へ、変態・・・ですか、ですよね、ですね」  僕は否定できない。    噛んだり泣き叫ぶのを犯したり、穴まで舐めたり・・・変態ですよね。    「・・・それで彼女いないんか」  なんで僕が彼女いないの知ってんの。  まあいそうにないよね。  あんなんする男なんか、特殊な性癖の者同士やないとあかんよね。  うん、高校生じゃ難しいよね。     じゃなくて、僕も僕の性癖なんか知らんかったわ!!  今日まで!!  男でもイケるってのも全部!!  「・・・」    僕は何も言わない。  頭を下げたまま、待つ。  「なんでも言うて。少しでも気がすむようにして・・・許されるとは思ってへんけど」  僕は歯を食いしばりながら言った。      めちゃくちゃ泣いてた。  鼻水も出てきた。  「・・・たまにやったらええで。でもあそこまではあかん。少しくらいやったらええ」  アイツが小さい声で言った。  僕は顔を上げた。   涙と鼻水でぐちゃぐちゃの顔を。  「へぇ?」  僕はアイツが言っている意味がわからない。  「・・・オレが夢や言うたから、お前、自分のしたいようにしたんやろ。お前はああいうことが・・・好きなんやろ。ええで。少しくらいやったら・・・たまにやったら」  アイツが俯きながら小さい声で言った。  「オ、オレみたいなんでも、お前みたいな性癖のなんか人を痛くとかしたい奴なら、ちょっとはそうしたなる身体なんやろ?・・・少しは欲しなる身体なんやろ?」  アイツは震えながら言っていた。    いや、少しどころか、今でもその身体に押し入りたいくらいです。  でもお前何言ってんの。  怖かったはずだ。  痛かったはずだ。  「あそこまでは嫌や。嫌やけど・・・ちょっとくらいならええで。オ、オレもああいうのキ、キライやないし・・・」  嘘や。  震えてるやん。  思い出しただけで。  「オ、オレなら・・・お前と・・・お前のセックスに・・・付き合えるで?・・・どうなん?」  アイツはぎゅっと目を瞑って言った。  付き合う、て。  僕は今、セフレ申請をされてます。   「オレ・・・したことないかったから分からへんけど・・・色々・・・覚える。お前かて・・・そんだけ変態やったら・・・相手探すん・・・大変ちゃうの?」  アイツがなんか必死でこっちを見ないで言ってます。  あ、そう。  したことなかったの。  だよね、お前、他人とコミュニケーションできないもんね。  僕が初めて?  嬉しい・・・やなくて、コイツ何言うてるん?    「付き合ったるで?・・・たまにやったら」  アイツが震える目で僕を見た。  あの、その目反則やと思います。  てかこれ何、何なん?  どういう状況?    「それとも・・・オレはやっぱり・・・嫌か?」  アイツの声は震えていて。  たまらんなった。  胸が痛すぎる。  もうわけわからへん。  抱きしめとった。  アイツの身体が強張った。  怖がってる。  オレは慌てて離す。  「だ、大丈夫か」  僕はオロオロ声をかける。  「へ、平気や」  アイツは嘘をつく。   僕が怖くて震えているくせに。  なんでなんでなんで・・・。  「つき合うか、オレと」     アイツがガタガタ震えながら言った。        僕は呆気にとられた。    コイツ。  コイツ。    こんな目に合わされても・・・僕が好きなんや。  僕はこんな時やのに頭の中に蝶々が飛び回り花がさきあふれるのがわかった。  天国はこの世に存在するんやで!!!  そんなんそんなん一択しかないやろ。  「つき合って下さい」  僕は土下座した。  まさかまさかの。  そんなんあるんか。  「ええで・・・でも当分はあかんで」  アイツは言った。    あかんて?  何のこと?  でもまあ、お付き合い?  恋人?  僕は地獄からの天国に頭が働かなくなっていた。  「・・・お腹すいてへんか?なんか買って・・・てか僕財布ないわ」  僕は何かしてやりたくて仕方ない。  「冷蔵庫になんかあるやろ・・・勝手に喰え。オレはええ」  アイツは布団に潜り込んだ。  僕はオロオロする。    でも恋人?  恋人だよね。  「なんかさせて?」  僕は布団の上からアイツを抱きしめて囁いた。  「当分はあかんて・・・」  てアイツが震える声で言う。  何が当分はあかんのや?  「喉乾いてへん?」  僕は囁いた。  「・・・冷蔵庫にミネラルウォーターがある」  小さい声でアイツが言った。  「持ってくるわ」  僕は浮かれた。    恋人ができた。  色々怖がらせてしまったことはゆっくり挽回したい。  何をしてでも償う。  もう怖がらせない。    僕は浮かれた。  アイツの家の冷蔵庫を開けて驚く。  綺麗に整えられた冷蔵庫。  なんか作り置きしてある総菜とか、つけてある野菜とか。  すごいうまそうなもんが入ってて。  一人で暮らしてるわけではないのかな?  とりあえず、ミネラルウォーターをコップに注いで持って行く。  アイツに手渡した。  なんかしてあげれることが一つでもあって嬉しい。  アイツが水を飲むのを嬉しそうに見てたら、顔をしかめられた。  うっとうしいんかな。  「・・・腹減ったやろ、冷蔵庫のもん適当にくえや。飯は冷凍庫にあるのをレンジで解凍したらええ」  アイツは僕にコップを手渡すと、だるそうにまた布団に潜り込んだ。    僕はコップを畳の上に置いて、ちょっとだけ、もう一度だけ、布団の上からそっと抱き締めた。  細い身体がまた震えた。  でも優しく抱きしめるだけだから。  僕の恋人や。    僕の。  大事にする。  大事にするんや。  「・・・すんのは、身体治ってからやで」  アイツが溜息をついたのが布団ごしに聞こえる。  「うん」  僕は頷く。  してもええん?    もうあんなことせんからね。  したいけど、せんからね。  優しくするからね。  僕は布団の上から顔をこすりつけた。  「嬉しいか?そんなに」  アイツが皮肉っぽく言った。  「うん」  僕は答えた。  お前と付き合えるの嬉しい。    きゅっと抱きしめてしまった。  「そっか・・・」  アイツが少し笑った気がした。  この時にきちんと話をしていなかったことが、僕とアイツの間に誤解を抱えることになることを、まだまだ僕は理解していなかった。  てか、できるわけないやろ。  僕の恋人の思考は僕の想像をはるかに超えていたんやから

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