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狭間 9
白い生き物はまたアイツの影に入っていった。
何これ。
何?
アイツこんなんいつも連れ歩いてんの?
「家が代々契約しているモンでな、ある程度のヤツなら喰らってくれる。ちょっとした代償と引き換えに、オレを守ったりオレが命じた奴を喰ってくれる」
アイツは淡々と言った。
「アイツらが何なのか、とか聞くなや。オレにもホンマのことは分からんのや。物理法則とかも無視しまくっとるんや、コイツら許せんことに!!・・・いつか解明してやるんや!!」
アイツは苛々したように言った。
いや、僕、そんなんどうでもいい。
アイツらが何なんかとかもどうでもいい。
そんなんより・・・。
「代償って何なん!!」
めちゃくちゃそこ気になるんですけど!!
アイツは困ったような顔をした。
何それ。
何?
僕の勘がここをいい加減にするな言うとるで。
僕、こういうの間違わへんで。
「大したことない・・・」
アイツが俯いた。
めちゃくちゃ胸がざわめく。
何、このあかん感じ。
絶対に問い詰めなあかんやつや、コレ。
「言うて」
僕は肩を掴んで揺さぶった。
アイツはオロオロと目を泳がす。
「何で言われへんのや」
僕の声が低くなる。
アイツが僕を怖がっていることも忘れてしまって、肩に強く指が食い込む。
アイツが苦痛に顔をゆがませたが、止めない。
「・・・言え」
僕は顎を掴んで目を覗き込み、絶対に逃がさないようにして言った。
アイツが震えたがここは止めない。
絶対に。
「大したことない・・・ちょっとだけ・・・飲ませてやるだけや」
アイツが小さい声で言った。
顔を背けようとするけれど、それを許さない。
「・・・何を」
僕はごまかしなど許さない声で聞く。
「・・・俺の・・・精液や」
小さな声は確かにそう言って・・・。
僕は激昂した。
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