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契約 4

 確かにキモイとか言っちゃったけど・・・怒りにまかせて酷いことしたけど・・・。    好きや。  好きすぎるからや。  「お前みたいな酷いことしなあかんヤツには・・・それでもええって言うオレみたいなん・・・いるやろ?オレは大丈夫やもから・・・オレケガさせたから、我慢してくれとったんやろうけど・・・もう、大丈夫やし・・・好きなようにしてくれてもええねんで・・・嫌とか言うてまうかもしれんけど・・・」  腕の中で恋人がなんか言うてます。  どうやら僕は付き合ってる思ってたけど、恋人は僕のセフレになったつもりやったみたいです。  その、いわゆる・・・。  「ど、奴隷みたいなんが欲しいんやろ?お前みたいなん」  恋人は自分を性奴隷宣言してます。  何でやねん。    確かに。   確かに。  酷いのんが好き、みたい、やなぁ  僕は。  でもちゃうで。   ちゃうんで。  今日もしてしまったけど、しでかしてもうたけど・・・。    お前を優しく抱きたいんや、僕は!!  もう言い訳にもならんけど!!  「お、お前優しいからオレに色々、気いつこうてくれてんのはわかってんねん。オレ、性格悪いし、口悪いし・・・見た目も悪いし・・・こ、今度のことでも・・・色々気味悪いやろでも、嫌わんといて・・・好きになってくれとは言わへんし・・・お前の趣味を理解してくれるパートナー見つかるまででええから・・・何してもええから・・・」    アイツが僕にすがりつく。  ええええええ。  何これ。  僕は捨てないでと恋人にすがりつかれてます。  何してもええ、って言葉に思わず唾を飲んでしまったけど、瞬間で色々想像してもうたけど、  動画で見たみたいに、目隠しして吊すとか・・・縛ってするとか・・・、喉の奥に突っ込むとか・・・。  いや、縛って目隠しして怯えきったとこをってのはもう・・・何されんのかわからんで泣くのを、こう、色々と。  泣かせたい。  怖がらせたい。     ほんま色々したい。  いやでも違う。  違うんや!!!    「めっちゃ好きで、愛してます、そう僕は言ってんねんけど」  僕は困り果てながら愛を語る。  「そんな嘘はええから・・・ええんや・・・」  恋人はなきじゃくる。  コイツ・・・ネガティブやとは思ってた。  ひねくれてるし、何でも悪い方にとるし。    僕は僕の恋人が何なのかやっとわかった。  コイツ・・・めちゃくちゃ自己評価低いんや。  自分が誰かに好かれるなんて思いもせんのや。  いつも嫌みな態度  嫌な言い方しかせん話し方。  そういうヤツなんかと思ってた。  他人に好かれんでもええヤツかと。  それどころやなかった。  コイツ・・・他人が自分が好きになるなんて・・・思いもつかへんのや!!  一ミリも。  「嫌いにならへん言うたやん・・・嫌いにならへんといて・・・」  僕の胸にすがりつく。  僕は呆然とした。  そして察した。   コイツの告白がものすごい決意の果てやったことを。  ほんの少しも好かれてない。  むしろ嫌われてるとさえ思っていて、それどころか笑いモノにされると思っていて・・・。  それでもコイツは告白しにきたんや    それがどんなことやったんか。  「それくらいで嫌いにならん」  僕の言葉をアイツがどんな思いで受け入れたのか。  アイツには・・・この世界の誰にも好かれてないと思い込んでいて実際限りなくそれに近いこの恋人には・・・。     「嫌いにならへん」  それが全てだったのだ。  こんなに可愛いのに。  こんなにエロいのに。  こんなに好きやのに。  この最悪の自己評価しか持たない恋人には・・・僕の気持ちは全く通じていなかったし、少しも理解してくれていなかったのだ。  僕は恋人を抱きしめるしかなかった。  待てや、おいこれ。  おい。    僕・・・片思いやったんかい!!  泣きそうになってしまった。

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