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猫殺し 6
「何故、猫殺しをなんとかしろってあの一つ目カカシは言うとるんや?」
僕はアイツに聞いたのだ。
前に現れた後、一つ目カカシとアイツが話をした後で。
こんな巨大なバケモノ屋敷の外からも見えると思うんやけど、アイツも巨人も気にしてないから大丈夫なんやろな。
一つ目カカシは少しこちらの言葉を喋れるらしい。
「わかるわけかない」
アイツは僕の質問にそう答えた。
「仮説でええで」
いい加減わかってきた僕はそう言った。
「いや、こればっかりはホンマに分からへんのや。でも、契約まで持ち出してきたから、アイツらには猫殺しを止めさせたいだけの理由があるんやと思うで。こっちは理由は関係なく契約の通りにするだけや。アイツらとの契約は絶対なんや。言うこときかんと喰われることもあるし」
アイツは肩をすくめた。
「く、喰われる?」
僕はアイツを抱きしめた。
あかんあかんあかん。
喰わせたりせん。
「あ、大丈夫。この契約は緩くてな、失敗しても喰われる程の拘束力はないしな。危険なことかあっても、何かあったら、オレには白がおるし・・・」
アイツは口を滑らせた。
「白はあかん。絶対にあかん」
僕は歯噛みした。
アイツお前の精液を報酬に貰うやんか。
お前のん飲むん許せん。
アイツはため息をついた。
それに失敗したら喰われるような契約とかあるんかい・・・他にもしてるんちゃうやろな。
「まあ、白を使わんでもなんとかなると思うで。まあ、オレも犯人は捕まえたい。・・・お前もやろ?」
アイツの言葉に頷いた。
猫殺しは捕まえたい。
許されん。
生きたまま焼かれた猫を思った。
「白が喰ったん、焼かれた猫なん?」
僕は気になった。
殺された上に喰われたん、可哀想やん。
「アイツらの世界でも死んだもんはもどらへんよ。・・・あれは苦しみとか怒りとかが結びついて生まれた生き物や。死んだ猫とは別もんや」
アイツはそう言った。
死んだものは戻らない・・・それをアイツがかなしげに言ったような気がする。
アイツはなんでひとりで暮らしてんの?
おとんとおかんはどこにおんの?
じいさんと兄ちゃんはなんでアイツを置いて家にはオランの?
まだ聞けてないことはたくさんあった。
少しずつや。
少しずつ。
うまくいかへんけど、僕はアイツを諦めたりはせんのや。
寒い。
もうすぐクリスマスやしな。
そんなことを考えながら、裏山を目ざす。
チャリなら10分かからへん。
アイツとクリスマスするんや。
何でかまだ出来てないデートもするんや。
誘ったデートは全て断られた。
アイツは僕と歩きたがらない。
「みっともない真似できるか」と手厳しい
僕そこまでみっともないかなぁ・・・
こんなに身体を重ねても、まだ一緒に歩いてはくれない間柄なのだ。
この腕の中であんなに乱れるくせに、一緒には歩いてくれない・・・。
しかし、今度のクリスマスこそデートする。
そして、卒業したら・・・一緒に住んでもええかって聞こうかと。
もう半分住んでるようなもんや。
もう、流石に朝まで抱いたりはせんし、気を失ってもヤり続けたりもせん。
ちゃんとセーブするし、アイツの体調にも気をつける。
・・・イキすぎて、気を失ってぐにゃぐにゃになったアイツの身体を味わうん・・・ここまで僕のになったんやと言う気持ちになれて好きやったんやけど・・・。
ヤりすぎて出しすぎてトロトロになった穴とか好きやったんやけど・・・。
もう、せん。
めっちゃしたなるけどせん。
殺したらあかんもん。
ずっと一緒にいたい。
いたいんや。
こんなん、誰にも思ったことがない・・・。
僕はチャリを飛ばしながらアイツのことを考えていた。
特別何かを欲しいと思ったことはない。
のんびり生きて、たまに、リングで暴れられたらそれで良かった。
夢を見たこともない。
誰かを憎んだことも、強く思ったこともない。
肉親への絆はあるけれと、こんな殺したいような、全てを捧げたいような、奪いたいような・・・自分も相手もメチャクチャにしたくなるような気持ちは初めてだった。
殺すまでシたい。
そんな思いもあることが怖くて。
アイツが死んだら死ぬ。
そうも思う。
分からへん。
何でここまで好きになってしまったのかわからへん。
離さへん。
離れへん。
アイツが離れたい言うたら僕は・・・。
アイツをどうしてしまうのかがわからない。
それが怖かった。
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