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悪意 6

※※※※※※動物への虐待シーンあります。苦手な方はやめて下さい ↓ ↓ ↓  少年は猫に餌をやりにいく。  人目のつかない時間がいい。  なのでいつも草木も眠る丑三つ時・・・になっていた。  猫に餌をやることが気に入らない人間は餌を与える人間のことをじっくり見て記憶するからだ。  覚えられたくない。    決まった時間に餌を与えにいく。  そうすれば、ひと月位たてばそれなりに慣れて、餌をやれば触らせてくれるようになる。  それから、だ。  楽しんで殺すのは。  狩りには時間がかかる。  一年前から猫を殺し始めたが、この町の猫は減った気配はない。  どこかから補充するようにやってくる。    前みたいに子猫が落ちていればいいのに。   少年は思う。  あれは捨て猫だったのだろう。  ダンボールに入れて捨てられていた三匹の子猫を見た時は心が震えた。  あの時だけはすぐだった。  近くの学校に連れて行って楽しんだ。  子猫は弱いのですぐに死んでしまうけれど、三匹いればそれなりにたのしめる。  実際、二匹はすぐに死んだが、最後の一匹はかなり頑張って全ての脚を切り落とし、尻尾を切り取るまで生きていた。  必死で上げる泣き声はまるで人間のようで・・・射精してしまった。  特殊な鉄板などを切るハサミで切り落とした。    小さな肉球のついた足が切り落とされる度、脳が焼けるような快感が走った。  あの女の腕を切っている。     肉をきる感触にそう想像した。    あの女の手足を切り取って泣き叫ぶんだ。    許してくれと泣き叫ぶんだ。      また射精した。  尻尾まで切れば子猫はもう悲鳴もあげなくなった。  もうすでにバラバラになった兄弟に目をやったような気がした。  人間だったらどう思うか聞けるのに。  残念だ。    外で殺すのが好きだ。  誰かが発見して騒ぎ立てるのがいい。    ただ、子猫の時は流石に学校なのでゴミ袋に入れて、焼却炉に放り込んでおいた。  あまり騒ぎになりすぎると・・・面倒になる。  ネットで猫を殺すのを中継していた馬鹿がいるらしいが少年はそれは危険だと良く知っていた。  これは趣味。  趣味なのだ。  趣味に危険はおかせない。  小さい頃は虫を殺した。  少しずつ脚をもいだり、羽をちぎったりしてどのあたりで動かなくなるのかを知りたかった。  命が消える。  スイッチを消すという行為に酔いしれた。   命という、どう作用しているものかわからないものは、ちぎれた脚や羽から零れていく見えない液体のようだとおもった。  虫の身体から流れ出す体液に命を感じた。  命はこの体液のように身体の中に閉じ込められているのだろうか。    虫を殺すのは楽しかった。  生きていたものが動かなくなる。  この指先だけで。    美しく飛んでいた蝶は、地面を這いつくばる虫になった。  かろやかに跳ねていたバッタは、ただ身体を蠢かす虫になった。  ミミズはアスファルトの上でしだいに干からびて行く。  高価な値段で買ってもらったカブトムシは生きながら標本のようにピンで突き刺してみた。  虫は強い。    後に殺した動物達よりも、虫は身体をかなり失ってもうごめき続けた。  なんて楽しい。  なんて楽しい。  でも、と少年は思う。  もっと楽しいことがあったならば・・・虫を殺すのは止めれただろう。  まだ止めれただろう。  だけど・・・・。  猫を殺すのは一番はあの女を殺したいからだ。  全ての猫はどこか女に似ている。  女を殺すために猫を殺している。  人を殺すのは良くない。  だから猫で我慢している。  あの女のことを考える。  昔は激しい怒りに頭の中がカッとなった。  次に悲しくて胸が痛くなった。    今は胸の中が冷たく冷えるのを感じるだけだ。    あの女・・・。    沢山いる殺してやりたい奴らの中でも一番殺したいあの女。  大人になったなら絶対に惨めな思いをあじあわせてやると思っているあの女。  でもあの女を殺したりはしない。  殺したなら犯罪になる。  自分の人生を棒に振る気はなかった。  でも本当は殺したい。  猫達みたいに、頭からお湯をそそぎかけて、手足を切り落として。    何度も何度も刺したい。  猫は必要だ。  何度でも殺せる。  あの女を殺してしまえば殺せるのは一度だけだ。  それに・・・大した罪にはならないし、捕まったならそれはそれで良かった。  それこそがあの女への最高の罰になるだろう。  少年は歪んだ微笑みを浮かべた。         

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