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悪意 12
「お前の美的感覚はおかしい」
とか、なんか色々言われはしたけれどアイツはなんと!!
クリスマスにお出かけすることは納得してくれた。
でもわかってんねん。
アイツを綺麗やと僕が思っていることはなんとか受け入れてくれたけど、僕がアイツを好きなんは絶対信じてへんねん。
なんでやねん。
コイツ、マジでどうなってんねん。
それに学校は一緒にイキたくないって。
「オレは嫌われモンや。嫌われモンでいたいんや」
胸を張って言われた。
まあコイツ、確かにきらわれとるけどな。
いじめられへんだけで、むちゃくちゃ嫌われとるけどな。
コイツが大体悪いねんけどな。
この辺は他にもややこしい理由があるようだ。
嫌われモンなのがアイツの大切なステータスみたいなので、ここはほうっておくしかないのか・・・。
この辺もまぁ、ゆっくり。
僕はため息をついた。
ややこしい。
ややこしい。
それでも。
「綺麗や」
囁いたならアイツは真っ赤になった。
初めて言葉が届いたのたと思った。
「していい?飯の途中やったけど」
僕は囁く。
もう、僕が限界。
「好きにせぇ・・・」
真っ赤な顔のままアイツは顔を背けていった。
「縛ってもいい?ちょっとだけ」
僕はお伺いをたてる。
「・・・ちょっとだけやで」
アイツは怖がって昨日泣いたくせにそんなことをいう。
僕は笑った。
ちょっとだけ。
ちょっとだけ。
ちょっとづつ。
ちょっとづつ。
アイツが僕を信じてくれる。
僕達は近づいていく。
少しずつ。
そうそう、忘れたわけやないけれど、猫殺しにも少し近づいた。
「お前の家あたりの・・・小学生から私学行ってるヤツあたりから探していこう。そんなにはおらへんはずや」
アイツは言った。
猫殺しを逃がしてしまい、気化猫と戦い、白と契約した後の作戦会議の時、アイツは断言した。
「なんでわかんの?」
僕は不思議そうに言った。
「ソイツは多分、悪意喰いに寄生されとる。悪意喰いはお前の町らへんをテリトリーにしとる。アイツらはテリトリーの外には住みたがらん」
アイツは言った。
「悪意喰い?」
僕は初めて聞く単語に首をかしげた。
何それ。
「こっちにも住んでる奴らがおる言うたやろ。そのうちの一つや。お前の町みたいなことこが好きで、多分、15体位はおるんやないかな。きちんと確認したわけやないけど」
アイツはバサバサと部屋の本棚に入りきらんと床に積んでる本を取り出した。
古い本でアイツによると和装本というらしい。
中は手書きの毛筆と、筆で描かれた絵がのっている。
前にも見してもらった。
アイツのご先祖様が書いた、平たくいえば「妖怪図鑑」や。
結構面白いので、僕は絵だけ見たりしてる。
何書いてるか読めへんもん。
アイツが開いた頁には、背中を剥き出しにした男の背中からら、小人の上半身が生えている絵やった。
クシャクシャの握り拳みたいで、大きさも拳くらいの顔は読者の方をそのやたら黒々とした目ぇで見つめていた。
「うわぁ・・・生えてくんのこんなん」
僕はぞっとした。
嫌やこんなん。
「寄生しているだけや。普段は身体の中にもぐっとる」
アイツは言った。
こんなん身体の中におるの?
嫌や。
僕はぞっとした。
「コイツにのっとられてんの?」
コイツに操られて猫殺しを・・・、そういうことか?
僕の言葉にアイツが呆れた顔をした。
「はぁ?乗っ取られるとか・・・お前漫画読み過ぎやろ?」
アイツは呆れたように言った。
「なんか異様なことがあったらすべてそれは化け物のせいか。お前・・・ホンマに現代に生きてんのか」
アイツは眼鏡を押し上げ、怒り始めた。
ああ、メンドクサイスイッチをいれてしまった。
そう思った。
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