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獣 4

 「お前の声聞こえてるって」  僕は言いながらアイツの中を激しく突く。  やっぱりこうしたなる。    気持ちええ。  「ああっ・・・いやっ、いやっ・・・・ああっ!!」   アイツは叫んでしまい、また涙が溢れる。  悔しそうに歪む顔、でも感じてる身体。  流れる涙。  抑えられない声。  たまらなく可愛い。  「・・・先輩!?」    後輩がうろたえる。  むかつくわ、コイツ。  聞くなやボケ。    他の誰かに聞かれてると思ってるコイツはたまらなく可愛いけどお前はむかつく。  「ええから名前言うて」  僕は名前とガッコを聞き出したら、後輩に何もいわんと電話を黙ってきった。  でもアイツには教えない。  「ほんならちょっと聴いとくか、僕の恋人最高に可愛いからな」  僕はアイツに聞こえるように言って、スマホをアイツの顔の側に置いた。  アイツは電話が切れてんのは知らん。  涙目で僕を睨みつけるアイツに自分のがまたでかくなるのが解る。  あかんて。   逆効果やで。  腰を両手で掴んだ。  もう無我夢中でそこを突いた。  アイツは唇を噛み締めて堪えていたが、深いとこをゴリゴリ抉ると悲鳴をあげてしまった。  「いやっ・・・いややっ・・・やめ・・・ああっ!!」  アイツが泣き叫んだ。  なんて可愛い。    「人に聞かれてんで?声抑えたらどうや?」  僕は意地悪を言う。  「許して・・・いややっ・・・いやっ」  アイツが泣く。  嫌がって泣く。  「ああっ・・・いやっいやっ・・・許してぇ」  声が出ることに泣く。  でも感じてる。  それがいやで泣く。    めちゃくちゃ可愛い。  コイツは許してくれることを知ってしまっているから胸が痛む。  コイツは僕がどんなセックスしても許してくれる。  セックスだけで繋がってると思ってくれるから。  くそっ!!  腹立たしさと愛おしさと、苛めたい気持ちが混じり合う。  「許して・・・お願い・・・許して・・・」  哀願するアイツを正面に向ける。    僕はコイツの顔を見てすんのが好きや。  「お前が声出してるんやで・・・自分が聞かせてんのや、恥ずかしくないんか?」  僕はアイツの耳もとに囁いた。  「それとも・・・他に聞かせたいんか?」  そう考えると勝手な話だけどむかつく。   乱暴に突きまくる。  「嫌やぁ・・・やめてぇ!!ああっ」  アイツは泣き叫ぶ。  アイツが涙だけを流し続ける。  許してもらえないと知ってるからだ。    それでもあきらめきれない羞恥が、身体を戦かせる。  「いっぱい・・・声出してな?」  僕は優しく優しく言った。  アイツの顔が子供みたいに歪んだ。    顔を隠すことさえ許さない。  恥ずかしさに耐える顔。  唇を噛み締めて震えて、涙を流す。    絶望的に見開かれた目。    それでも感じる身体。     嫌がることをしてるのに、それでも受け入れてくれるのが愛しい。  愛しい。  僕はまた激しくアイツを突きはじめた。  深く抉り、突いて、乱暴に擦りたてた。  可哀想なアイツはそんなにされてももう感じるようにされてしまってる。  優しいのが好きやのに。  でも、コレでもアイツは感じる。    僕かそうしたから。  「あっ・・・ああっ・・・いやっ・・」  高い声をあげて、諦めきれず泣くアイツは最高にかわいかった。  胸が痛む。  そんなにつらい?  でも苛めたい。  愛しい。  胸が痛い。  愛しい。  気持ちいい。  でも抉り、嫌がる声を最大限に出させる。    「いやぁ・・・許してぇ・やめてぇ・・・・」  身体を震わせアイツはまた射精した。  その耐え難い締め付けにアイツの中で放つ。  たまらん位に気持ちええ。  最高や。  「すごいなぁ・・・人に聞かせてお前イったやん。・・・お前もド変態やなぁ」  気持ち良さに喘ぎながら僕はアイツに囁いた。    アイツが身体をひきつらせた。  嗚咽する。  ずっと泣いてたけどそんなもんやない、泣き方やった。  エロい泣き方やない・・・子供が泣くのをこらえてるみたいな泣き方やった。  僕はあせる。    えっ?  えっ?  えっ?  セックスどころやなくなった。   僕は慌てて引き抜く。  そしてアイツの顔を覗き込む。  そこには羞恥などなく、ただただ、悲しくて泣く子供みたいな顔があった。  「・・・オレ、やっぱり気持ち悪い?・・・変態やから・・・」  アイツが漏れる声を押し殺そうとしながら言った。   「気持ち・・・悪い?・・・オレのこと嫌いになった?」  アイツは苦しくてたまらないかのように胸をおさえる。  そこが痛むのだ。  悲しすぎて。  「もう・・・嫌いになった・・・?」   アイツは泣く。    その事実に耐えるように。  しまった。    やりすぎた。  コイツの自己評価は最低すぎて、僕がコイツを好きなことすら認められんのに、やりすぎてもうた。  「んなわけないやろ!!」   僕はもう必死や。  後でいくらでも土下座するから泣かんといて。  抱きしめて、その顔中にキスをする。    「変態なんは僕です。僕やから。ちょっとだけ苛めたかったたけやねん。・・・ゴメンナサイ、ゴメンナサイ」  僕は必死で謝る。  「そやけど・・・オレ、人に聞かれてんのにイったし・・・めっちゃ声出してるし・・・変態やん・・・」  泣きじゃくる。  やりすぎてもうた。  可愛すぎてやりすぎてもうた。  「・・・変態でもええ、むしろ変態ならむしろええ、最高や!!大歓迎!!」  僕はもう何言ってるかわからへん。  とにかく、コイツを傷つけてしまったことに焦る。  「変態がええの?」  アイツが驚いた目で僕に言う。     「大歓迎!!変態最高!!」  僕は怒鳴る。  お前やったら何でもええ!!  「お、お前の性的嗜好って・・・難しいなぁ」    アイツはむしろ考え込むモードに入ったようで涙は止まった。  「ほ、ほんならオレもっと・・・変態ならなあかんの?」  それはそれでびびったららしい。  唇を噛み締めてる。    またいらん誤解しとる気もする・・・。  「オ、オレ頑張るから・・・」   アイツが僕にすがりつく。    頑張るって何を・・・。  いや、それはそれで・・・。  いやいや、そんなそんな。   あんなんとかこんなんとかしてええの?    「嫌わんといて・・・」  アイツが泣いた。  あかん。  あかん。  完全にやられた。  僕が死にそう。  あかん。   可愛い。  可愛いすぎ。              

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