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獣5

 「スマホ、誰も聞いてへんかったから。すぐ電話切ったから!!ホンマは誰にも聞かせたないから!!僕だけのやから!!」  僕は大声で言う。  ちょっとは聞かせてしまったが、そこはあれや。  スパーで殴って記憶なくさせるから無しや。  「誰かに聞かせるなんて嘘やから!!」  声限りに怒鳴る。  抱き締める。  「お前可愛い!!大好きや!!」  僕は絶叫した。  屋敷中に聞こえる声で。    赤と黒が何事かと一瞬襖を開けてアイツの無事を確認しにきたが、すぐ閉まった。    「ゴメンナサイ。ゴメンナサイ。ゴメンナサイ」  僕は繰り返す。    こんなに好きやのに上手くいかない。    どんなに抱いてもつたわらない。   上手くいかない。  上手くいかない。  「とにかく、き、嫌いやないんやな?」  アイツがホっとしたように言った。  「良かった・・・」  小さく笑った。    その笑顔に泣いたのは僕で・・・。  こんなに愛されてんのに・・・僕はいつでも片思いなんや。  上手いこといかへん・・・。       

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